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苦手なバラエティー番組にありがたいことに呼んでもらえたが、どうしても苦手ということもあって、上手く活躍することができなかった。
「どうせジャニーズだからって甘やかされてるんでしょ」
「女だからってずるいよなぁ。唯一の女タレントってだけで、仕事もらえるんだろ」
だから、共演者やスタッフの声が鮮明に聞こえてしまった。
扉をあけようとした自分を恨んだことはない。
「どうせ、今まで苦労することもなくやってこれたんだろ」
苦労はたくさんした……それでも、その言葉を吐きだすほど、私は強くなんてなかった。
「……A？」
『……っ……し、げ……』
後ろなんて気を付ける気力なんてなかったから、後ろから来ていたしげに声を掛けられて気が付いた。
扉の向こうにはスタッフや共演者が居て、逃げ場がなかった。
「どうせタレントとかともそういう関係持ってそうだよな。」
「枕とかしてんじゃない？」
「っ……んやとっ」
場所も考えずに大きな声でそういった彼らにしげが私の隣を抜けて怒りに身を任せて扉を開けるのを止めようとしたけど、もう遅かった。
扉を開けたしげと、背中を向けた私に気が付いたスタッフや共演者の人たちが息を飲んだのがわかった。
「あのっ！！」
『いいから！！しげ、……もう、いいからっ……』
何も言えない私の代わりに怒ってくれようとしたしげを手を広げて止めた。
なんで、と言いたげなしげに私はただ、首を横に振る。
『……私のことを、勝手に言うのは自由ですけど……。』
声が震えないように作るのが必死だった。
顔をスタッフさんたちの方に向けたらだめだと冷静な部分の自分が言うのだ。
『うちの事務所はそんなに甘くない……。
たくさんの努力で全員デビューしましたし、努力をしているＪｒしか私は知りません。
･･･……私のことを勝手に言っても、彼らを馬鹿にするのはやめてください。
虫唾が走る』
「「「っ！！」」」
『……今日は迷惑をかけて申し訳ございませんでした。
機会があれば、またよろしくお願い致します。』
いろんな感情を飲み込んで、振り向いてから頭を下げて、失礼しますとしげの腕を掴んで歩く。
しげが、何か言いたげに言葉を飲み込んで同じように失礼しますと怒りを抑え込んで告げてから追いかけてきてくれた。
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作者名：重岡優月 | 作成日時：2022年8月4日 18時
