雪の中に咲く一輪華 (ページ41)

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操をこなすうえで、私は原作ファンの方にただのアイドルがとか思われたくはないのだ。

数少ないシーンでいかに満足してもらえるかが、私がここにいる意味だと思うから。

『滝沢歌舞伎で追い込められてるあいつらよりも……女の私でもこんなアクロバットができるんだって…演出ができるんだって認められたい。』

これは私と、あいつらとの勝負だと思う。
カメラマンさんに小さく微笑んでから私はそっと汗を拭ってスタッフさんたちの中に向かった。
後ろで健さんの笑った声がした。

＿＿＿＿＿＿

「A！！この傷の量なに！？」

『……あ、ここにも痣できてたんだ』

「あ！じゃないでしょ！？怪我したならしっかりケアしなさいって何度も言ってるでしょうが！」

メンバーの中でも過保護な辰哉に楽屋での休憩時間に腕に痣ができていると発見された。
稽古の中でできたのだろうと予想はついたが、自分でもいつできたものかはわからない怪我だった。
あーあ、と辰哉が救急箱を取りに行ったのを見送って私は苦笑いする。

「アクションとアクロバットは全然違った？」

『全然違うよ。自分の力だけで跳ぶのは慣れてるけど、ワイヤーとかで飛ぶのは滅多にない。
慣れてるか慣れてないかで全然体の使い方がわからなくなる』

「でも、やめないんでしょ？」

『やめない』

照は私の答えが分かっていたという様に笑った。
危ないことはしなくていい、守られていてほしいと彼らは言うが、私がそんな女になれるかと言われたら、全員首をそっと横に振るだろう。

「守られてくれないなら、心配くらいはさせてやれよ」

『……健さんにも言われた。わかってるよ』

私は私の力で、彼らを守りたいのだ。
SnowManは私にとって、失いたくない最大の宝物なのだから。

辰哉に治療を受けて、彼にも心配はさせてほしいと言われた。
それにたくさんの心配はさせるけど、してほしいと答える。

「佐藤さんとの共演がうれしいからって無理はしないこと。この時期は俺らも注意散漫になるけど……Aも気を付けてくれないと」

『…辰哉たちも今年は怪我多すぎ。自分たちのことももっと注意して』

「はーい」

照もだよ、と私は後ろで携帯を弄っている彼にも言えば、ぎくっと肩を揺らした。
辰哉が口を大きく開けて爆笑した。