約束 ページ18
紅白のリハーサルが終わったら、嵐さんのラストコンサートの打ち合わせに参加する。
「ごめんな、一番忙しい時に…」
これは去年からの約束で、松本さんに直々にオファーを頂いて、嵐さんのラストコンサートの演出からセトリの管理を任されていた大きな仕事。
松本さんに謝罪されて全力で首を横に振る。
『昔は休みが二週間なかった時期もありますから……まだ大丈夫ですよ』
「それは昔がおかしい。寝れる時にしっかり寝なね」
Jr時代たくさんのドラマや映画の撮影を詰め込まれる嫌がらせを受け、本当に一日休みが全くなかった時期がある。
それはすぐに崇裕にバレて、事務所を通して仕事量の管理がされるようになったが、良くも悪くもその時の影響もあってある程度の無理はできる方だと思っている。
さすがに今倒れたらどれほどの迷惑がかかるかわかっているから、倒れるわけにはいかないと気を張っているつもりだ。
「俺も、Aの演出手伝おうか」
『え……!?』
「一応、タッキーからその話は来てるの。俺はAに決めさせろって突っぱねたけど、Aが手伝った方が良いなら俺は全力で手伝うよ」
思いがけない人からの声に、私は呆然としていた。
そんな私におおげさなと笑うが、私にとって演出を勉強させて頂いているのは松本さんだから、驚くに決まっている。
「で?どうするよ」
『……今回は、辞退します。まだ、松本さんに作ってもらうほど大きくなれていない。』
Jr時代、SnowManになった自分に新しい武器が欲しいと、たくさんのことに手を伸ばして演出も学ぶようになった。
それから松本さんや、流星が本当にすごいのだと実感して、二人にいろんなことを聞いて学んでいる最中だ。
いつか、松本さんに演出を作ってほしいと思ったことはあるが、それは……
『SnowManがもっと大きくなったその時の為に、とっておきたいです。』
私だけのステージで望んだものではないから。
松本さんは驚いたような顔をしたけど、それから嬉しそうに笑った。
「お前、本当にメンバー大好きだな」
『好きですよ。あいつらが居てくれたから、私は一人にならなくて済んだんですもん』
「寂しがりやのお前じゃ、一人は無理だもんな」
笑われてもいい、だってその通りだから。
私は爆笑する彼に苦笑いを零す。
ひとしきり笑ってから、松本さんはいつか、演出させろよ、と頷いてくれた。
それから二人で一人でも多くの人を笑顔にさせられるような案を出し合った。
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作者名:重岡優月 | 作成日時:2022年8月4日 18時