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「さっきの写真なんやねん！！てか、A盗撮すんなや！」
「しげ声でかいわ！！やって、言うたら撮らしてくれるわけないやろ！！」
「康二も重岡君も声でけーよ」
スピーカーにして出ていたからしげはあ、目黒くんもおったんと一瞬冷静になった。
俺は狙い通りの反応にけらけら笑ってしまう。
「Aちゃんの写真送らんかったらそれはそれで嫌なんやろ？」
「他の写真とかも撮ればよかったですよね」
「目黒君までやめてぇや！！
写真貰ったってわかったら俺がAに怒られるんやぞ！」
それはそうだと俺もわかっているが、同期の長年こじらせてきた片思いを応援したい気持ちはあるのだ。
姉のような、妹のような、家族のような存在が俺にとってのAちゃんやった。
年下やけど、俺よりも１年先輩の彼女は誰にでも優しくて、一人だったけど誰よりも自由に輝いて見えた。
本当はそんなことなくて、泣くことも許されなくて、強がって一人でも大丈夫だと周りにも、自分にも言い聞かせるようにするしかなかったのだと、今ならわかる。
「A、キレてたやろ」
「ん〜そこまで怒ってはなかったで？ふっかさん無視はしとるけど」
「あ、着替えて戻ってきた。」
スピーカーをすぐに解除してしげに送ったことは黙っといてなと伝えてから通話を切った。
めめと二人で小さく笑って、ふっかさんに謝られ続けるAちゃんにそろそろ許したってと声を掛けに行った。
『康二〜……お前も同罪だからね？』
「あ、ばれとった！！めめ、逃げんで！」
「俺関係ないだろ！」
『写真消しなさい！康二！！』
ふっかさんを叱って満足したと思っていたが、写真を保存していたことはばれていて、俺は携帯を片手にめめを道連れに楽屋を走り回る。
昔のAちゃんと俺では考えられないような、距離間に俺はそっと本当の彼女を知れた気がして笑いながら走り回った。
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作者名：重岡優月 | 作成日時：2022年8月4日 18時
