橙空 ページ12
向井ｓｉｄｅ
それスノの撮影でAちゃんがまさかのマネキン役としてそれぞれの女性に着てほしい部屋着を着てくれて、Aちゃんは最初すごく嫌がってたけど、最終的にはふっかさんの選択した服までしっかりと着てくれはった。
『辰哉……後で楽屋ね』
「………はい」
俺らも知らなかったとはいえ、ふっかさんのはやばくて珍しくAちゃんも大激怒やった。
滅多にないAちゃんの大激怒にしょっぴーは指さして笑うからだてにダメだよと注意されて撮影は終了した。
「Aごめんて。」
『……知らない。』
「Aが着るとは思ってなかったんだよ〜」
知らなかったとしても、Aちゃんはチャイナ服を着せられたことが嫌だったらしく、追いかけて謝るふっかさんにダウンを着せられながらもむすっとしてる。
昔、Aちゃんが関西Jrにいた頃はあまり見ることができなかった彼女が拗ねている姿は俺はあまり見たことが無かった。
流星にAちゃんは強いよなと話したときに、彼は確か……しげの前では弱いねんと教えてくれたのを思い出した。
『……康二！カメラこっち向けないで！』
「えー！Aちゃんのかわいい姿しげに送りたいねん！お願い！」
『ふっざけんな！絶対ダメだから！』
ダウンを脱いだ状態で撮って送ってやりたいが、Aちゃんがそんなこと許してくれるわけあらへんから、ダウン着た状態で送った。
バレて携帯を奪おうと追いかけっこが始まる。
「やって！！ほんまにかわいいから送らへんかったらあいつにキレられるもん！」
『しげがそれで切れる訳ないだろ！！今すぐ削除して！』
追いかけっこをする中で、あぁAちゃんは鈍感さんやなぁって鳴りやまない携帯を持ちながら苦笑いする。
好きで、守りたくて仕方なかった女の子だと前面に出しているくせに、ほんまの気持ちを伝える勇気のないあいつが悪いけど。
「もうしげも見たから追いかけてこんとって〜！」
『！！もう！！康二も辰哉も知らない！！着替える！！』
「おーおー珍しくキレてる」
スタッフを待つのも嫌になったのか、私服を持って部屋を出て行ったAちゃんにめめが珍しいと笑っていた。
俺はほんまに、と小さく笑って電話がかかってきた相手に噴き出す。
「重岡君だろ、でであげなよ」
「Aちゃん出ちゃったし出たろうかな」
通話のスイッチを入れた。
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作者名：重岡優月 | 作成日時：2022年8月4日 18時
