検索窓
今日:8 hit、昨日:5 hit、合計:831,958 hit

23 ページ23

「……そう、ですか?」

「そうです」

「別にストレスはないけど」

「ふーん」


「王子?」

手に顔を置いたまま、こてんと首を傾げるシゲ。


「え?」

「ちゃうの?」

「あ、いや…」

「別に言いたくないんならいいんやけどさ、なんか一人でいろいろ考えるとネガティブにならへん?」

「あぁ…」

「俺むっちゃなんねんなぁ」


ベンチに背中を預けるシゲ。

「外に出した方が楽やったりするやん」



昨日から、考えないようにすればするほど頭の中はあの事でいっぱいになって。

忘れようとしても、忘れられるわけもなくて。


それで、ふと気づいた。


忘れて、どうすんねやろ。
目そらして、どうすんねやろ。


「……わたし、どうしたらいいんやろなー」


明るく言ったつもりなのに、それは自分の耳にもわざとらしく届いて嫌になる。


「……のんちゃんに彼女がおるのは……変わらないのになぁ……」


きっと、心のどこかで期待してた。


いつか、私のところに来てくれるんやないかなって。



やばいと思ったとき、シゲに雑に、でも優しくぐしゃぐしゃと私の頭を撫でられて、堪えてた涙がこぼれた。


「……簡単にやめられへんから好きってことなんとちゃうの」

「……フフ、ちょっとかっこいいこと言ってる」

「うるさいな」


一度こぼれてしまった涙はなかなか止まってくれなくて、私たち以外に人がいないことに感謝する。


「別に、あいつを好きなことは悪いことやないんやし」

自分でぐしゃぐしゃにした私の髪を雑に整えるシゲ。


「……悪いことやろ」

「なんで?」

「だって……わたし、ユキ先輩と……わかれてほしいって…思ってる」


初めて言葉にする、自分の嫌な部分。
目をそらし続けてきた、自分の黒い感情。


「普通やろ」

「……」

「好きな人に好きな人がおってさ、その人やなくて自分を見てほしいって思ってる人、たぶん今世界に30億人くらいおるで」

「フフッ、…そんないる?」

「あー、10億くらいかな」

「ハハッ」

「まあ赤ちゃんとかもおるから、七人に一人くらいって妥当やない?」

「もうちょっと少ないやろ」


どうでもいいことを真剣に考えてるとなんか面白くなって、気づけば涙も止まった。



「一人で泣かん方がええで」

「……フフッ」

「どんどん悲しくなって最終的にまあまあのブスなるし」

「うるさ」


ハハッと笑うシゲのえくぼに、もやもやしてたものがだんだんと消えていく気がする。

24→←22



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (599 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1393人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

花音(プロフ) - ルリさん» 原因がやっとわかり、気づいたところは直させていただきました!ところどころまだ直っていないところもあるかもしれませんが、読めるものにはなったと思います。ご迷惑おかけして申し訳ありませんでしたm(__)m (2017年3月2日 12時) (レス) id: a2ab04aa9f (このIDを非表示/違反報告)
ルリ(プロフ) - 文字化けが多く、ちゃんと読めません。 (2016年11月3日 18時) (レス) id: bcbf5ed211 (このIDを非表示/違反報告)
花音(プロフ) - @neさん» ありがとうございます♪わたしも書いてて重岡くん!ってなってます(笑)これからも楽しんでいただけるように頑張ります! (2016年6月13日 23時) (レス) id: f47d949a46 (このIDを非表示/違反報告)
@ne(プロフ) - いつも楽しく読んでます!しげ優しすぎてキュンキュンしてます(笑)これからも更新頑張ってください! (2016年6月13日 21時) (レス) id: b9c4aa2937 (このIDを非表示/違反報告)
花音(プロフ) - # : h i r a r a .さん» 教えていただいてありがとうございます!直しておきました、たぶん大丈夫なはず、です!ゆっくりで申し訳ないですが、これからも読んでいただけたら嬉しいです(*´∀`) (2016年6月13日 7時) (レス) id: f47d949a46 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:花音 | 作成日時:2016年5月28日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。