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「よっ」

駅のホームで電車を待ってると、横からトンと肩を叩かれる。


「あ、おはよう」

「間に合ったー」


ワイシャツの袖を捲りながらのんちゃんが言う。


「寝坊?」

「二度寝した。めっちゃ急いだ」

「フフッ」

「今日暑ない?昨日寒かったんに」

「しかも急いだしな」

「ほんまに。あっつ」


ワイシャツをパタパタするのんちゃん。
柑橘系の香りが鼻を掠める。


「A髪切った?」

「結構前やで」

「え、うそやん。めっちゃ切ったように見える」

「今日おろしてるからやない?」

「ああ、そうかも」


去年は夏を過ぎた頃からほとんどなかった一緒の登校は、二年生になってからまた増えた。

まだ進級して一ヶ月半しか経ってないけど、そろそろ両手の指が埋まるくらいの回数は一緒に行ってる。


特に中身のない話をしてると、ホームに滑り込んでくる電車。


朝の通勤通学ラッシュの中では、のんちゃんとの距離は自然に近くなってドキドキする。

端っこが空いたら、自然な感じで私を端に寄せるのも。


「テスト勉強してる?」

そういえば、と思い出して聞いてみる。


「ぜんっぜん。やばい」

「世界史とか結構範囲多いで」

「マジで?クレオパトラくらいしか覚えてへん」

「まだやっとらんし、クレオパトラ」

「あれ?」

「世界三大美女に引っ張られすぎやろ」

「見てみたいよな、どんなんか」

「でも日本人としては小野小町の方が気になる」

「あぁ、こまっちゃんな!」

「友達か」

「でもこまっちゃん今の時代じゃ可愛くないって説あるやん。昔は目とかも一重の方が良かったって」

「あぁ、そっか」

「だからたぶん俺とかあの時代やったらダメやな。今生まれて良かった。今のイケメンで良かった」


清々しいほどの発言に黙ってみれば、「せめて返事して」なんてのんちゃんが笑う。


くだらない話をしながら学校に行って、階段を上ったところで「じゃ」と軽く手を上げて別れる。


それだけの、朝。


ここ最近は、この会った日の朝の数分しか話すことはないけれど。

だからこそ、幸せな時間。

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花音(プロフ) - ルリさん» 原因がやっとわかり、気づいたところは直させていただきました!ところどころまだ直っていないところもあるかもしれませんが、読めるものにはなったと思います。ご迷惑おかけして申し訳ありませんでしたm(__)m (2017年3月2日 12時) (レス) id: a2ab04aa9f (このIDを非表示/違反報告)
ルリ(プロフ) - 文字化けが多く、ちゃんと読めません。 (2016年11月3日 18時) (レス) id: bcbf5ed211 (このIDを非表示/違反報告)
花音(プロフ) - @neさん» ありがとうございます♪わたしも書いてて重岡くん!ってなってます(笑)これからも楽しんでいただけるように頑張ります! (2016年6月13日 23時) (レス) id: f47d949a46 (このIDを非表示/違反報告)
@ne(プロフ) - いつも楽しく読んでます!しげ優しすぎてキュンキュンしてます(笑)これからも更新頑張ってください! (2016年6月13日 21時) (レス) id: b9c4aa2937 (このIDを非表示/違反報告)
花音(プロフ) - # : h i r a r a .さん» 教えていただいてありがとうございます!直しておきました、たぶん大丈夫なはず、です!ゆっくりで申し訳ないですが、これからも読んでいただけたら嬉しいです(*´∀`) (2016年6月13日 7時) (レス) id: f47d949a46 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花音 | 作成日時:2016年5月28日 13時

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