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「最初は気のせいかとも思ったけれども、徐々にどうやらそうではないらしい事を悟りました」
話す胡蝶は何処か寂しげな表情を浮かべていた
「花子はそんなつもりないんだと思います。ただ…恐らく人への頼り方や甘え方が致命的な程に分からないんだと思います」
彼女の出生環境を考えると仕方のないことですけどね、と続ける胡蝶
風の噂で花子には物心付く前から家族がなかったと聞いたことがある
良くも悪くも顔の広い花子の噂は耳にすることが多いのだ
「自分でも自覚しているのでしょうね。一生懸命に見様見真似で頼られたりはされますが、根っこの部分はそう簡単に変われるものではありません」
胡蝶の様子はまるで世話の掛かる妹を心配している様だった
その表情からも、声色からも本気で心配している様子が窺える
「ですから、煉獄さんに思いを寄せていることを聞いたときはとても驚きました。愛情の示し方にも」
言いながら胡蝶は可笑しそうに笑った
正直に笑い事ではないのだが
しかし、どうしてか返す言葉が見つからなかった
「人の機敏ばかり慮る彼女が人目や迷惑考えず盲目的に振り向いて貰おうとする様は、なんとも微笑ましいです。煉獄さんには申し訳無いですけどね」
本当に申し訳なくは思っていないな、と結論付ける
でなければ、こんなに震えながら笑いを堪えない
「もう少し付き合ってあげて下さい。諦めは…恐ら
く良い方ですから」
目を伏せながらどこか寂しそうに呟く胡蝶に違和感を覚えたが言及することはしなかった
この時は、自分が近い未来でその言葉の意味を痛感するとは思いもしなかった
▼
こういうことか…っ!
以前、胡蝶とした会話を想起した俺は花子の向かった先に駆け出した
分からない
いつも
自惚れではない
彼女はどんな時でも俺の意思を尊重し
真剣に身を案じてくれていた
どんな些細なことでも本当に幸せそうに笑ってくれる
喜んでくれる
全身で俺を好きだと
言っている
そのくせ、俺に思い人がいると知ると何を言うでもなく笑って
傷付いた顔も見せてはくれない
すがってもくれない
村人に傷を負わされても、責められても
弱音の一つも吐いてくれない
いや、違う
人への寄りかかり方が分からないから
吐けないんだ
いつか彼女は壊れてしまうんじゃないか
その日を思いぞっと背筋が凍った
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chiaki0708(プロフ) - 私も煉獄さんと結婚したい!!!そしてこのお話は2回目でもとってもやっぱり面白い!!なんなら新たな発見できて面白すぎる!何度読んでも素晴らしい作品!!!数ある煉獄さんの夢小説で1番好きです!!! (2021年12月5日 14時) (レス) @page50 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - 愛弓さん» したい! (2021年11月6日 12時) (レス) id: 9c488eb26d (このIDを非表示/違反報告)
愛弓 - 杏寿朗さんと結婚したい (2021年11月6日 9時) (レス) @page2 id: cf70200c76 (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - カレンさん» 初めまして!読んで下さってありがとうございます(*´∀`)♪パスワード解除したので宜しければどうぞ! (2021年2月13日 8時) (レス) id: 9c488eb26d (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - えこさん» はじめまして!コメントありがとうございます(´▽`)楽しんで抱けてとても嬉しいです!!まだ中身なかったのでパスワードしてましたが2話作ったので解除しました!宜しければ読んでやって下さい(´▽`) (2021年2月13日 8時) (レス) id: 9c488eb26d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かのん | 作成日時:2020年11月25日 23時