煉獄さんと結婚したい！

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部屋で呼吸を巡らし精神統一していると、湯から上がった炎柱様が手拭いを肩に掛け現れた

いつも獅子のように逆立っている髪も濡れてたらりと下がっている



「かっっっっ！！！！！！！」


こいい！！


あ"ぁあーーーーっ！

目が！


目が輝き落ちるぅぅうぅ！！！



「結婚して下さいほんともうお願いします！！」


好き！！


「断る！！」


だろうね！


顔に両手を当て真っ赤になり興奮していると、何時ものごとく呆れた表情を向けられる

今それ逆効果です！

色気しか感じないからぁ！


「ぐ…っ好きすぎて辛い！」

「君は本当に…早く湯を貰ってこい」

「あ、駄目です」


ぴっ、と炎柱様に掌を向け待ったの姿勢を取る

そう、今日私は湯を浴びるわけにはいかない


「炎柱様に触って貰った所洗いたくないんで」


「行ってこい！！」


ぴき、と炎柱様額に青筋が立てられ、替えの着替えとともに廊下に投げ出された

…何だか日に日に扱いが雑に

大丈夫です、私はその中にある確かな愛を感じていますとも



「花子」


にやにやと笑いながら風呂に向かおうとすると、真剣な声で名前を呼ばれたため振り向く

そこにはやはり真剣な面持ちをした炎柱様


「戻ったら話がある」

「？、はい」


何だか張り詰めた雰囲気であり不思議に思ったが素直に頷いた







▼




「はぁーっ、気持ちよかったぁ」


満足したように縁側を歩いていると、ふと子供の声が聞こえて目を向けると兄弟だろうか、庭で鬼ごっこをしている

すっかり日も落ちてしまったが、屋敷から漏れた明かりでそれほど暗くは感じない

走り回るその姿は無邪気で、思わす微笑んでしまう程可愛らしい

遠目には父親と母親と思われる二人が立っており、こちらも微笑ましそうに笑っている


その家族のありふれた日常がどんなに美しいか



自分には家族が居たことがないため若干の羨ましさを自覚しながらも、ただただとても尊いその景色に思わず少しの間魅入ってしまった


この世界は優しくはない


でも、温かくて大切に思える人達がいる


だから

この光景をひとつでも当たり前と思って貰えるように


一体でも多くの鬼を斬る



そんな何気ない風景に元気を貰いながらゆっくりと自室へ向かう

障子を開けると炎柱様が窓から外を眺めていた

先程降りていた髪は乾いたからかいつもの様に逆立っている

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