お兄ちゃんと悪い点 ページ48
コートの片付けが終われば部員は部室で着替え始める
賢二郎は着替えるのが早くて
携帯の通知の確認をしていた
春とはいえまだ4月なので肌寒い気温のせいで
鼻先を赤くしながら先輩の着替えを待っている
私も着替えは直ぐに終わったので
(賢二郎の奢りの)ホットココアで指先を温めている
すると動かしていた突き指した手を止めて
こちらをじっと見つめてきた
｢おい、それ貸せ｣
｢何を？｣
｢ココア｣
｢え、なんで。寒いじゃん。嫌なんだけど｣
｢俺の金だろ。俺だって寒いんだよ｣
｢もう一個買えばいいじゃん｣
｢ふざけんな寄越せ｣
｢ちょ、やめ、こら！！取るな！｣
かじかんだ指先から缶なんてすぐに奪われてしまい
他の人と比べると低いはずの兄の頭上に掲げられると
どうしても届かない
軽くジャンプをしても尚届かない身長差が恨めしい
ニヤニヤと笑いながら鼻先に生暖かくなったココアを
チョンと優しく当ててきた賢二郎を
このクソ兄貴と睨みつけていると
天童さんたちが着替え終わって出てきた
…もちろん、佐倉さんも一緒に
｢賢二郎先輩、お疲れ様でした。今日、外から見てて思った反省点とかまとめたので良かったら見てください｣
｢……あぁ、ありがと｣
｢へぇ〜、客観的な意見もらえて良かったね？賢二郎｣
個人的には機械かよって思うほど
今日は調子が良さそうだった
それをマネ業ひとつまともに出来ない彼女がまとめた？
その言葉を聞いて思わず顔を顰めてしまい慌てて戻した
｢どれどれ〜？『配分ミス』『トス精度』『牛島さん頼りのトス』……フゥン？｣
｢……ま、まぁ、今後の課題が見つかってよかったな！｣
｢今日の賢二郎先輩は集中がよく切れていましたし、模擬試合も牛島さんにばかりトスを上げていて非効率的でした。それだと公式戦で牛島さんが疲れやすくなります。トスの精度も悪すぎです。スパイカーに合わさせてどうするんです？もっと上手くやってください。それから……｣
｢賢二郎｣
｢なっ、｣
｢ねぇ、お母さん夜遅くなるらしいよ。ハルたち待たせちゃ可哀想だし早く帰ろ？｣
｢……今から帰るって電話しといて｣
｢ん、分かった｣
聞くに絶えなかった
無理矢理見つけた悪い所を
あたかも直さないと負けるみたいな言い方をされたことが
馬鹿みたいに嫌だった
話を遮られた佐倉さんの顔は
私への嫌悪感で満たされていた
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いもけんぴ(プロフ) - だいすき…最高っ…更新などとても大変だと思いますが主様のペースで無理のない範囲で頑張ってください！応援してます✊‼️ (12月3日 23時) (
レス) @page45 id: d551381a46 (このIDを非表示/違反報告)
リンゴ(プロフ) - 最高です！ (11月28日 17時) (レス) @page43 id: 2eed20377d (このIDを非表示/違反報告)
比羅(プロフ) - 面白いです。 頑張ってください (11月18日 20時) (レス) @page36 id: 68ad18c6c6 (このIDを非表示/違反報告)
リンゴ(プロフ) - わかりました！たのしみにしてます！！！ (11月12日 12時) (レス) id: 2eed20377d (このIDを非表示/違反報告)
momokano627(プロフ) - リンゴさん» コメントありがとうございます！私情で申し訳ありませんが、最近色々と忙しく時間のある時にちょっとずつ書いているので、頻度は未定です。ちょっとだけの時もあれば、一気に何話も更新することがあるので、気長に待って貰えると嬉しいです！ (11月11日 20時) (レス) id: 2de2232d88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ますもも | 作成日時：2023年10月29日 3時
