お兄ちゃんと妹 2 【白布賢二郎】

お兄ちゃんと服 ページ41

　
　
　
　
監督さんのマネージャーという単語に反応して




部員のみんなが見渡すがお目当ての人はいないようで






｢あれ、そういえば来てませんね｣




｢遅刻、ですかね？｣




｢チッ……｣






珍しく賢二郎が人の多いところで舌打ちをした




変にからかわれたりするからいつも抑えてるのに




そんなにイラついたのだろうか




牛島さんからの話を聞きながら




賢二郎の様子を盗み見ると体育館のドアが勢いよく開いた






｢おっ、遅れました！！｣




｢あ、監督。マネ来ました。｣




｢……時間は厳守しろ。早くボールの準備！｣




｢は、はいっ！｣






ジャージを羽織りながら倉庫に消えた見覚えのある女の子






｢？ どうした、体調が優れないのか？｣




｢あ、いえ……｣






入学初日の日に苦手意識を持った人が




マネージャーをやっているとわかって少し動揺していたら




牛島さんに顔色の指摘をされてしまった




いかんいかん、せめて顔には出さないようにしないと




確か同じクラスの佐倉由奈…って名前だった気がする




男バレのマネ希望と言っていたのは本当らしい




牛島さんからある程度のことは聞けたので




彼女を手伝ってきますと言おうとしたら




とうとうゲスブロさんが口を開いた






｢えっ、そのカッコで部活やんの！？動きにくくね！？｣




｢あー今日は体育なかったので｣




｢なら俺の体操服使うか？時間割りミスって持ってきてたから綺麗なままだよ｣




｢やーだ瑛太くん…カワイイコに自分の体操服着せてナニするつもりかなぁ！？｣




｢ばっ、そんなんじゃねぇよ！！｣




｢いえ、ブレザー脱いでシャツで動くので大丈夫です｣




｢でも……｣






やっぱり貸すよと言ってくれようとした先輩の言葉を




黙れと言いたげに遮って私の視界は真っ白になった




私のよく知る柔軟剤の匂いとともに香るアイツの匂い






｢ねぇもっと優しく渡せないの？つかなんで持ってんの？｣




｢体育あったから｣




｢は？じゃあこれ着たの！？｣




｢文句言うな。｣




｢だって使用済みじゃん｣




｢我慢しろ｣




｢……え、なに痴話喧嘩？｣




｢兄妹なんだからただの喧嘩だろ｣






軽い言い争いに戸惑う部員をスルーしていたら




監督さんが練習始めるぞと言い出して




さっさと着替えてこい、と体育館からつまみ出された




当たり前だけどブカブカで袖を捲らないと邪魔だった




あと汗の匂いしないのが1番腹が立った
　
　
　
　
　

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