お兄ちゃんとお父さん ページ27
「ただいま」
「おかえり、入学式どうだった?」
「中学の入学式と変わんなかったよ」
「そうか。悪かったな、行けなくて」
「急な会議じゃ仕方ないよ。お母さん来てくれたし、十分」
リビングで新聞を読みながらソファに腰掛けるお父さんは
仕事の疲れが取れていないのか
少しだるそうな顔で私を出迎えた
お母さんは、入学式が終わったと同時に
呼び出しがかかったらしく
申し訳なさそうにしながら先に帰った
駄々をこねても留まってくれる訳がないのだから
わかった、と素直に見送った
賢二郎はいつも通り部活があるらしく
結局1人で帰ってきた
「今日の夜ご飯、お母さん作れなさそうなら私作るよ?」
「父さん、今からまた出ないといけなくてな。せっかくの入学式だったんだ。お前や賢二郎達だけでも、何か食べてきたらどうだ?」
「今日は家で何か食べたい気分なの。それにどうせ外食するならみんなで行きたいでしょう?」
「そうかそうか。なら、またみんなの予定が合った時に寿司でも食いに行こう。」
「………うん。たのしみにしてるね。」
そろそろ出るよと言って
ソファの横に置いていた鞄を持って玄関に消える父
きっとバレていないだろう
私の顔が驚くほどに歪んでいることなんて
賢二郎にしか興味のないあの人に
バレるわけない
「………お寿司は嫌いだって、何度も言ってるじゃん」
寿司を好んで食べるのは
私以外の白布家の人たちだけだ
「………外食も、どうせ嘘だったんだろうな」
そそくさと会社に逃げる父を
嫌いにはなれないけれど
代わりに好きになれもしなかった
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いもけんぴ(プロフ) - だいすき…最高っ…更新などとても大変だと思いますが主様のペースで無理のない範囲で頑張ってください!応援してます✊‼️ (12月3日 23時) (レス) @page45 id: d551381a46 (このIDを非表示/違反報告)
リンゴ(プロフ) - 最高です! (11月28日 17時) (レス) @page43 id: 2eed20377d (このIDを非表示/違反報告)
比羅(プロフ) - 面白いです。 頑張ってください (11月18日 20時) (レス) @page36 id: 68ad18c6c6 (このIDを非表示/違反報告)
リンゴ(プロフ) - わかりました!たのしみにしてます!!! (11月12日 12時) (レス) id: 2eed20377d (このIDを非表示/違反報告)
momokano627(プロフ) - リンゴさん» コメントありがとうございます!私情で申し訳ありませんが、最近色々と忙しく時間のある時にちょっとずつ書いているので、頻度は未定です。ちょっとだけの時もあれば、一気に何話も更新することがあるので、気長に待って貰えると嬉しいです! (11月11日 20時) (レス) id: 2de2232d88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ますもも | 作成日時:2023年10月29日 3時