お兄ちゃんと質問 ページ21
全てを見抜いているかのような瞳で見つめられ
何となく気まずくて黙り込んでいると
低い声で問いかけられた
「去年の中学の大会で、セッターをしていた。」
｢なっ……！｣
一気に冷や汗が吹き出してくる感覚に陥った
歯が震える
指先の感覚がない
こんなに強い人から見た私のトスなんて
きっと酷いものに決まっている
息苦しいのを我慢して
やっとの思いで声をしぼりだす
「…人違いじゃ、ないですかね」
「いや、間違いない。」
「どうして、言い切れるんですか」
「いいトスをあげる選手だと、注目した記憶がある」
迷うことなく発された
“いいトス“という言葉に
はっきりと頭が理解した
あぁ、この人が注目したのは…私じゃない
だって、私は…
私には…
「…私には、いいトスをあげることなんて、できません」
「…どういうことだ」
「私には…味方スパイカーの選択肢を狭め、相手ブロックが読みやすい、小学生レベルの下手くそなトスしかあげることは出来ません」
自分で言っておきながら
少し傷ついていることに笑えてくる
でも実際そうだ
あの日のトスは、DVDを見てから理解した
完璧なんかじゃなかったと
第三者の目線で見たからこそわかる
味方の最大値を引き出すべき人間が
押さえ込んでしまったと
だから、この人が目をつけたセッターは
私じゃない
なのに
この人は恐ろしい
誰も気にかけないような疑問に
最も簡単に手を出す
「誰かにそう言われたのか」
「…え？」
私の中の止まっていた歯車が
微かに動いた気がした
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 316人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
いもけんぴ(プロフ) - だいすき…最高っ…更新などとても大変だと思いますが主様のペースで無理のない範囲で頑張ってください！応援してます✊‼️ (12月3日 23時) (
レス) @page45 id: d551381a46 (このIDを非表示/違反報告)
リンゴ(プロフ) - 最高です！ (11月28日 17時) (レス) @page43 id: 2eed20377d (このIDを非表示/違反報告)
比羅(プロフ) - 面白いです。 頑張ってください (11月18日 20時) (レス) @page36 id: 68ad18c6c6 (このIDを非表示/違反報告)
リンゴ(プロフ) - わかりました！たのしみにしてます！！！ (11月12日 12時) (レス) id: 2eed20377d (このIDを非表示/違反報告)
momokano627(プロフ) - リンゴさん» コメントありがとうございます！私情で申し訳ありませんが、最近色々と忙しく時間のある時にちょっとずつ書いているので、頻度は未定です。ちょっとだけの時もあれば、一気に何話も更新することがあるので、気長に待って貰えると嬉しいです！ (11月11日 20時) (レス) id: 2de2232d88 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ますもも | 作成日時：2023年10月29日 3時
