カノキドランチボックス【カノキド学パロ】 (ページ8)

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５月２ページ8

そして、体育祭当日。

俺はいつも通りに起き出し、今日も弁当を作る。
なぜ母さんーーアヤカさんのことだーーに頼まないのか、疑問に思う奴もいると思うので一応説明しておくと、そこは俺なりのプライドってやつである。

頼りっぱなしは嫌なのだ。

という訳で、俺は毎日自分で弁当を作っている。
炊いたご飯をおにぎりにしてアルミホイルで包み、作ったおかずを弁当箱に詰めて、完成。

いつも通りの出来だ。

そしてそれらをランチトートに入れようとして、ふと思い立った。

俺はメモとペンを取ってきて、そのメモに一言、｢頑張れ｣と書き込むと、二つ折りにしてカノの弁当箱を留めているゴムバンドに挟んだ。

これを見たら、あいつはどんな顔をするだろうか。

少しにんまりしつつ、お姉ちゃんの分を含めて４つの弁当箱をランチトートに入れていった。

****

数時間後。

午前の部の種目が終わり、昼休憩の時間になった。

俺達はいつものように、屋上で昼御飯だ。

｢今日は何かな～?｣

嬉しそうに弁当箱を取り出すカノを、ちらりと見やる。

カノはゴムバンドに挟まれたメモに気がついたようで、首を傾げつつそれをつまみ上げた。

二つ折りのそれを開き、中に書かれた文章をよむと、そいつの顔はいつものにやけ面になった。

｢もうキドってば、可愛いなあ～!応援してくれるなんて!!｣

｢う、うるさい!!黙ってろ!!｣

なんだか恥ずかしくて、俺はカノのわき腹にパンチを入れた。

｢おお、お二人さん、熱々ッスねえ～!｣

｢末長く爆発しろ。｣

セトとシンタローさんにからかわれ、俺は余計に恥ずかしくなって、照れ隠しに弁当をかきこんだ。

｢ああそうだ、今日俺の妹がこれから見学に来るんで。｣

俺達を放置して、会話が再開された。

｢へえ、シンタロー妹さんいたんだ！何年生？｣

｢中３。桃っていうんだ。生意気で困ってるよ。｣

｢その割には嬉しそうじゃない？｣

今度はシンタローさんがからかわれ、焦った反応を返していた。

…ふむ、妹か。会ったら挨拶くらいしてやろうか。

そんなことを考えながら、俺は弁当を平らげた。