23. ページ24
＜侑side>
勘違いした自分が悪かった。あいつを信用してやれなかったのは自分の方だった。気づいたのは、その日、別れよう、と言われてからだった。
だから、気づいた時にはもう遅いし、1度入った亀裂は戻らないんだって身に染みて感じた。
タイミングが違うだけ。あの時見た、いま隣を歩くあいつの姿は数ヶ月前の俺と同じだ。
「…ほんまに好きやったのになぁ」
『え、何？』
ボソッと呟くと、スタスタと歩く俺の隣を小走りでついてくるこいつは、俺の顔を覗き込んで聞いてきた。
「なんでもないわ、アホ」
『えっ、えぇ。』
なんもしてないのに、と分かりやすく落ち込んだ。
『あ、あの。なんで私と話してくれたの？』
もう少しで教室につくというのに、立ち止まって聞いてきた。ただでさえ遅刻だっていうのに。
まぁ、でもこいつがいることを遠くからわかっていながら、話を聞こうとしたのは俺だ。
自分でも、なんでこいつと話そうと思ったのか分からない。
罪悪感？そんなものでは無い。別れたという結果になっても当事者の問題だ。俺には関係ない。
…少し、同情心が生まれたのだろう。
角名とこいつの関係なんてどうでもいい。だけど、ほんの少し、自分と似たこいつを見て同情してしまったのだろう。
「気分やな。」
そう単調に答えると、下を向いたままそっか、とだけ呟き、その後、笑顔で俺の方を見た。
『侑くん、怖い人だと思ってたけど、意外と優しかった。』
「失礼やな」
『ごめんごめん』
あはは、と笑う彼女の笑顔は素直に素敵だと思った。
「そんな風に笑っとったら、アイツもまたAの事見てくれるんやない」
別に、慰めるとか、そんなんじゃない。ただ、本当にそう思ったから伝えた。
驚いた顔を一瞬したこいつは、それから悲しそうな顔をしたけれど、また笑顔で、じゃあ笑ってなきゃね、と言った。
サムがこいつに構う理由がわかったかもしれない。何だか、放っておけない。応援してしまいたくなるような奴だ。
＿＿そんでもって、一途に角名のことを思い続けている姿は健気で、可愛いと思ってしまった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 955人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
多趣味のM(プロフ) - とても面白いです!!無理しない程度頑張ってください、更新待ってます!!（オチは�，任�願いします!!） (2020年11月22日 21時) (
レス) id: 2c30e4e7ea (このIDを非表示/違反報告)
うみね(プロフ) - ▽さん» ご心配おかけして申し訳ないです。嬉しい言葉ありがとうございます！全力を尽くします、よろしくお願いします。 (2020年5月31日 1時) (レス) id: 73373523e6 (このIDを非表示/違反報告)
▽ - ご時世がご時世ですので、もしかして何かあったのでは…と心配しておりました…！戻ってこられて嬉しいです！続き楽しみにしております！ (2020年5月25日 23時) (レス) id: f25f942306 (このIDを非表示/違反報告)
暁(プロフ) - コメント失礼します！めちゃくちゃ面白くて一気に読んでしまいました…！�ヾ�望です！ (2020年5月24日 0時) (レス) id: fe171e008c (このIDを非表示/違反報告)
ちゅん(プロフ) - �．�チ希望です！更新がんばって下さい (2020年5月23日 19時) (レス) id: 91eeaf506e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：うみね | 作成日時：2019年8月17日 13時
