今日は一際、輝く日【赤葦京治】 (ページ11)

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「にしても、俺のマフラーつけてるAが可愛すぎてやばい。」

「そうじゃん。寒いでしょ京治。ごめん、返すね。ちょっとシワになっちゃったんだけ…」

彼の胸元から離れてマフラーを取ろうとすると彼の顔が目の前に。

ちゅっ、と小さなリップ音がなってようやく状況を把握。視界がクリアになると、ニヤッとする京治が目の前にいた。

「なっ、なっ……急すぎ…！！」

「可愛いくて、つい。」

恥ずかしくて、見ていられなくて京治から顔を背ける。
空気は冷えていてとても寒いはずなのに、身体中が熱を帯びていてとても暖かい。

「はぁ…。もう、私は京治に完敗だよ…。」

「何か勝負してたっけ？」

「そういう事じゃなくて。」

私はカバンのそばに置いていた小さな紙袋を京治の前に差し出した。

「お誕生日おめでとう、京治。…大したものじゃ、無いけど。」

いざ、プレゼントを送ってみるとやっぱり自信がなくなってきて弱気になってしまう。喜んで貰えるかな、やっぱりこんなものより…って。

恐る恐る、京治の顔を見てみると、今度は京治が目を潤わせてプレゼントをマジマジと見ていた。

「ありがとう、A。開けていい？」

「あっ、うん。」

なんだか緊張するなぁ。こうやって祝うのは初めてではないけれど、どんな反応するかな、とか喜んでくれるかなってドキドキしちゃう。

「わ、時計。」

「う、うん。だいぶ前だけど…一緒に出かけた時欲しいって言ってたなって。」

「よく覚えてたな。え、もうつけていい？これ。…Aつけてよ。」

周りに花が飛んでるんじゃないかってくらい分かりやすく喜んでくれている京治を見て嬉しくなる。

うん、と答えて彼の細い手首に時計をつける。

「すごく似合ってる。」

シンプルなデザインの時計だけれど、付き合った当初より一層かっこよく、一層大人になった彼にはピッタリでとても似合っていた。

彼は手首に着けた時計をマジマジとみてから私の両手をとって視線を私に合わせてきた。

「ほんとに、どんなプレゼントよりも嬉しい。たくさんの人に祝われるよりも、A一人に祝われるだけで十分、ってくらい嬉しい。ありがとう、大好き、A。」

甘々な彼に既にキャパオーバーな私はうっ…と変な声しか出せない。きっと顔は真っ赤だろう。

「私も。大好き、だよ。生まれてきてくれてありがとう。」

言葉に出すのが苦手な私が精一杯伝えると彼に優しく抱きしめられた。