7.少女と本 ページ7
「ねえ、何でブックカバーかけてるの？」
私は辻君に聞きたい事があった。
辻君は少し怖かったけど、怒っているわけではなさそうだったので
ちゃんと尋ねる事ができた。
訪ねた事の答えはなんとなく分かるけれど、
あえて聞いてみる。
もし予想している事と同じなら…
「こんな本、一度拒否った奴らがもう一度見て噂にしない訳がないだろ？」
私と同じ考えだ。
初めて目があった時、
まるでかつての自分の目を見ているようだった。
今の現状に失望して、諦めて。
でも、諦めきれなくて。
自分の気を紛らわせるために、
諦めた事にしておくために
騒がしい所、暗い所に入り浸る。
……そういう人の目は、異様な光を宿している。
暗い、暗い黒。
その中にギラギラと強く、何かに縋るような光。
この少年は、似ていると思った。
ひたすら私に、似ていると思った。
この少年を…辻君を……助けてあげたい。
もう一度やり直せる事を。教えてあげたい。
「なあお前…東、東はカバーかけたりしないのか？」
何て事を考えていると、落ち着かせている様な
暗く落ち込んだ声で尋ねられた。
「私もカバーかけるよ？噂になるのは…嫌いだから。」
私はそれに明るく答える。
私まで暗くなって、
私達が病んでいる雰囲気を醸し出すのは嫌だからだ。
けれど私だって完全に立ち直った訳じゃない。
笑顔で言ったつもりだけど、
ちゃんと笑顔で言えているかは定かではなかった。
ブックカバーの話もして、
改めて辻君は私と似ているなと思った。
それなら2人で立ち上がれば良いとも思った。
『今に見てろ』って言って、辻君の事を噂にして笑いあっている奴等に、やり返してやれば良い。
人を傷つけている奴等に、ちゃんと立ち向かうんだ。
爆弾や、ナイフみたいな……
そんな凶器ではなく、人を傷つけない物
『屈しない事』で、立ち向かってやる。
本について辻君と話しながら、
私はさらにそんな事を思っていた。
《作者より》
100hitありがとうございます！
更新がノロくてすいません……
これから更に遅くなる事が予想されますが
生暖かい目で見守ってください。作者でした
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詠監(プロフ) - 素兎詐欺@永遠のカノキド廃人さん» 沢山のお気に入り、アンケートの回答、ありがとうございます。勉強との両立が難しくなってきたので更新は中々出来ませんが、よろしくお願いします。 (2015年4月28日 17時) (
レス) id: 848b6e3176 (このIDを非表示/違反報告)
素兎詐欺@永遠のカノキド廃人(プロフ) - 素敵なお話ですね。是非続きが読みたいです。更新、楽しみにしていますね(*^^*) (2015年4月28日 0時) (携帯から) (レス) id: 2556076766 (このIDを非表示/違反報告)
詠監(プロフ) - るるる♪さん» ありかとうございます！中々物語の進め方が上手くいかず苦戦してますが頑張りたいと思います！ (2015年3月13日 16時) (レス) id: d96647ad89 (このIDを非表示/違反報告)
るるる♪ - とても面白かったでーす！つづきがきになるっ＞＜更新待ってますっ！ (2015年3月13日 16時) (レス) id: f5e48699cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詠監 | 作成日時：2015年2月15日 14時
