6.少年と本 ページ6
「暗いぞ？」
俺は興味を示す目の前の少女にそう言った。
わざとぶっきらぼうに言ったのは、
俺の読む本に理解のある奴を初めて見て戸惑ったからだ。
「知ってるよ。この本、私も好きなんだ」
少女の口から俺にとって衝撃的過ぎる言葉が発せられる。
俺と同じ本が好きな奴なんて同年代で居るわけねーと思ってた。
クラスの奴は、
暗くて嫌だ。
難しい分かんない。
そう言ってこの本からも、
この本を読む俺からも離れて行ったのに……
驚いて何も言えなくなった俺を笑顔で見る少女。
話しかけようとして、
先程の自己紹介をまともに聞いていなかった事を思い出す。
名前…もっかい聞くしかないかな…
と思いつつもなんとなく気恥ずかしく聞くことはできず、
思い出そうと数分前の記憶をたどった。
「辻君…？」
しばらくそうしていると、突然名前を呼ばれた。
俺の身体が数センチほど跳ねる。
いつもは冷えた目で見てくるクラスの奴が笑いを堪えているところを見れば、
俺がクラスメイトの目にどう映ったのかは一目瞭然だ。
一体俺は何センチ飛んだってんだよ…くっそ…！
俺は混乱に陥った。
「あぁ？なんだよ…っ」
恥ずかしさが頂点に達してヤケになり、思わずヤクザの様な声で返事をしてしまう。
相手も驚いただろう。
折角の理解者だったのに、これじゃあ印象サイアクだ。
……てかそもそもなんでこいつは俺の名前を…？
怯えている少女をみれば、その視線は俺の机にそそがれている。
ああ…そこの名札見たのな…
1人で納得していると少女が躊躇いがちに口を開いた。
「あ、あの、名前…びっくりした…よね？ごめんね」
俯きがちに少女が言う。
なぜか妙な罪悪感が生まれ、俺はあわてて口を開く。
「あ、おう。いや、別に…いい。」
ものすごくしどろもどろになったのが自分でも分かった。
だが肝心の事を聞けていない。
この少女の名前だ。
「お前、名前は？」
怖気ついている少女を落ち着かせるために、なるべく落ち着いた声で話す。
「え、えっと…名前は、東、だよ？」
すると、さっきまで声を出すことすらためらっていた様子の少女が
もう一度名前を教えてくれた。
密かに申し訳ないと思う。
「東、驚かせてごめん。で、何を話そうとしてたんだ？」
気を取り直してもう一度少女に尋ねる。
少女はいくらか安心したようで、
始めに話しかけてきた時のように優しい笑顔を浮かべていた。
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詠監(プロフ) - 素兎詐欺@永遠のカノキド廃人さん» 沢山のお気に入り、アンケートの回答、ありがとうございます。勉強との両立が難しくなってきたので更新は中々出来ませんが、よろしくお願いします。 (2015年4月28日 17時) (
レス) id: 848b6e3176 (このIDを非表示/違反報告)
素兎詐欺@永遠のカノキド廃人(プロフ) - 素敵なお話ですね。是非続きが読みたいです。更新、楽しみにしていますね(*^^*) (2015年4月28日 0時) (携帯から) (レス) id: 2556076766 (このIDを非表示/違反報告)
詠監(プロフ) - るるる♪さん» ありかとうございます！中々物語の進め方が上手くいかず苦戦してますが頑張りたいと思います！ (2015年3月13日 16時) (レス) id: d96647ad89 (このIDを非表示/違反報告)
るるる♪ - とても面白かったでーす！つづきがきになるっ＞＜更新待ってますっ！ (2015年3月13日 16時) (レス) id: f5e48699cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詠監 | 作成日時：2015年2月15日 14時
