____…第10話…____ ページ10
お城の図書館で、一人、本を読んでいる。
今日の朝、キヨにだけ挨拶をしなかった。
その時のアイツの、目を見開いた顔が忘れられない。
…大事にしてた花だったのになぁ。謝らずに、いつも通り笑っているキヨを見て、腹が立った。
はぁ、とため息が漏れる。
「…フジさん……」
急に、後ろから声をかけられた。振り向くと、少し元気の無さそうな緑川さんが立っていた。
座りなよ、と一声かけると、微笑んで、俺の隣に座った。
「元気ないね。どうしたの?」
「あ、いや、大した事じゃなくて………国王と、喧嘩?っていうか……ちょっと色々ありまして……」
悲しそうに笑う緑川さん。ヒラと喧嘩って、どんな内容なんだろう。
「私の存在自体が、ストレスだったみたいで……今、ちょっと国王に避けられているんですよね……」
“なんでも頼るの、君のよくない癖だよ”
うーん。話を聞いた限り、緑川さんより、ヒラに非があると思う。
緑川さんは毎日、一生懸命働いて、テキパキ動いて、それでも弱音は絶対に吐かない。
この子の悪い所なんて、無いと思っていた。
「緑川さんは、人に頼ってなんかないよ。
むしろ、もっと頼ってほしいくらい、いっつも一人でなんでもしちゃう凄い人だよ。
多分、その時のヒラは、寝ぼけて、変なこと言っちゃったんだよ。」
そう言うと、元気の無かった緑川さんは、
「ありがとうございます。」と、嬉しそうに笑った。
俺は、カップに飲み物を入れて、緑川さんに渡した。
「…フジさんは、キヨのこと、怒ってますか…?」
緑川さんは、心配そうに目に涙を浮かべた。
「まぁね。」と微笑むと、彼女は苦笑いをして、飲み物を飲んだ。
その瞬間、緑川さんの腕を掴んで、壁に思いっきり叩きつけた。
その衝撃で、片目をつむって、苦しそうにむせている。
胸ポケットからナイフを取り出し、彼女の首もとに構えた。
「…………お前、誰だ?」
むせていた緑川さんの動きが、ピタッと止まった。
ナイフを凝視している。
「な、に、するんですか………フジさん………!」
涙目になっている彼女の首に、ナイフをチョン、と当てた。
びくっと震え、動かなくなった。
「…俺が、緑川さんと何年一緒にいると思ってるの?本物か偽物かなんて、すぐ分かる。」
ラッキーアイテム
大きなカマ
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あみ - 本編最高すぎてこちらも読ませていただきましたが、、、いや本当に神です以上！！(?)本当に好みというかなんというか。ヒ.ジ.キ.の小説で一番好きかもしれません。こ.ーす.け.をのけ者扱いにしているような小説が多いイメージがあったので。この小説が本当大好きです！ (2021年7月25日 14時) (
レス) id: 2c5fd51ba4 (このIDを非表示/違反報告)
みー - すごく、すごく良かったですっっっっっ...！(大号泣) (2019年11月22日 7時) (レス) id: 7c0d6b05b3 (このIDを非表示/違反報告)
かえで@utaitelove(プロフ) - もう最高です…！！感動したと思ったら次はキュンキュンしてほんと私の心臓どうしてくれるんですか！影葉さん最高です( ；∀；)他の作品も全部読ませて頂きましたがほんとに天才ですね！？これからも頑張ってください (2019年1月1日 21時) (レス) id: a0615ac09b (このIDを非表示/違反報告)
アンジ* - 今になってもずっと読んでます！狂った国の王子様、こーすけが出てきたシーンで大号泣してしまいました。番外編、ぜひ読みたいです！影葉さん、感動をありがとうございました！ (2018年8月20日 20時) (レス) id: a0d4f82c90 (このIDを非表示/違反報告)
夜猫 - ヒラ可愛い！死にそう！ (2018年2月3日 5時) (レス) id: c27b932811 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：影葉
| 作成日時：2015年12月5日 14時
