____…第32話…____ ページ32
いつも無気力っぽい笑顔の国王を見てきた私に取っては、今の彼はものすごく怖い。
初めて、あんな殺意のこもった低い声を聞いた。
こ、これは……乱闘が始まる。
「Aさんっ。ご無事で何よりです!」
「え………うわあ!?ミク!?あなた、どうやってここに……」
「すみません、詳しい事情は後程。今はキヨ様の手当てを優先させて下さい。」
いきなり現れたミクが、大きな救急箱やら針やらを取りだし、キヨの手当てをし始めた。
「はーっはっは!!よく考えてみぃヒラくん!!こっちはPｰPとつわはすという仲間もおんねんぞ!!3対1やー!!」
いきなりのポップに弾む声に、びっくりした。
レトルトさんは、黒いベストを脱ぎ、緑色のYシャツだけになった。血のようなネクタイが揺れる。
でも、なぜか、眼鏡の人とつわはすさんは、悲しそうに表情を歪めている。
「よし、つわはす!!」
「は、はい。」
「お前は、海で蟹を捕って来い!!今すぐにや!!PｰPはそれを料理してここに持ってこい!!」
戦わせないんですか!?
蟹を獲りに行かせるんですか!?あなた、さっき「3対1やー!」とか言ってなかった!?
なんでこのタイミングで、つわはすさん達に蟹を捕らせに行くの!?
状況分かってる!?
でも、命令された二人は、すぐに廊下へ走って行った。
「んー。あの二人は優秀やからなぁ。40分もあれば、料理した蟹を持って来てくれるはずー。」
「いいなぁ。僕にも食べさせてよ。蟹。」
「嫌や!蟹は、PｰPとつわはすと食うの!!ヒラくんは雑草でも食っとけ!!」
その言葉に、ピクッと反応した国王。そして、微動だにしなくなった。
それに気付いたレトルトさんは、口角を吊り上げた。
「あぁ。ヒラくんは、本当に雑草を食べてたんだっけ?親もおらんのやろ?可哀想になー。」
「………黙って。」
「お兄さん…こーすけくん1人も守れん。数年前、国民全員を皆殺しにし、
その事実を 無かったことのように隠した。うちの兵士も殺す。最低やんけ、アンタ。」
ペラペラと息を吸う暇もなく話続けるレトルトさん。これには、私もミクも、肩を揺らした。
国王は、下を向いた。握りしめた両手の拳が、震えている。
「そんなのが、1つの国の王様かー。」
腰に手をあて、仁王立ちをしたレトルトさん。
そして ゆっくりと歩き、国王の耳元で、明るく元気に言った。
「偉そうしてんじゃねえよ。人殺し。」
____…第33話…____→←____…第31話…____ 作者は関西弁が分からないので、間違った使い方をしていたら すみません
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あみ - 本編最高すぎてこちらも読ませていただきましたが、、、いや本当に神です以上！！(?)本当に好みというかなんというか。ヒ.ジ.キ.の小説で一番好きかもしれません。こ.ーす.け.をのけ者扱いにしているような小説が多いイメージがあったので。この小説が本当大好きです！ (2021年7月25日 14時) (
レス) id: 2c5fd51ba4 (このIDを非表示/違反報告)
みー - すごく、すごく良かったですっっっっっ...！(大号泣) (2019年11月22日 7時) (レス) id: 7c0d6b05b3 (このIDを非表示/違反報告)
かえで@utaitelove(プロフ) - もう最高です…！！感動したと思ったら次はキュンキュンしてほんと私の心臓どうしてくれるんですか！影葉さん最高です( ；∀；)他の作品も全部読ませて頂きましたがほんとに天才ですね！？これからも頑張ってください (2019年1月1日 21時) (レス) id: a0615ac09b (このIDを非表示/違反報告)
アンジ* - 今になってもずっと読んでます！狂った国の王子様、こーすけが出てきたシーンで大号泣してしまいました。番外編、ぜひ読みたいです！影葉さん、感動をありがとうございました！ (2018年8月20日 20時) (レス) id: a0d4f82c90 (このIDを非表示/違反報告)
夜猫 - ヒラ可愛い！死にそう！ (2018年2月3日 5時) (レス) id: c27b932811 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：影葉
| 作成日時：2015年12月5日 14時
