†狂ったアナタは王子様†【実.況.者】

____…第22話…____ ページ22

キヨside


あー、もう。あんのバカヒラめ。約束しただろ。もう人は傷付けないって。
Aが心配なのは、痛いほど分かるけど……

そして、さっきの自分の行動を恨む。


“おいヒラ!!お前はAを探せ!!”


…本当は、俺がAを探しに行きたかった。俺がAを助けてやりたかった。

でも、あの場に国王を残しておいたら、大惨事だ。


なんで、いっつもヒラなんだよ。
いっつもAと一緒で。それが当たり前みたいな顔しやがって。

今日、Aが誘拐されたと分かった途端、この世の終わりみたいな顔しやがって。


『フジが誘拐された』って言っても余裕ぶっこいてニコニコしてた癖に、

『Aが誘拐された』って知ったら、急に怖い顔して走り出しやがって。フジ可哀想すぎだろ。



“秘書?うーん。妹みたいな感じ、かな”


…嘘つき。天の邪鬼。ひねくれもの。それがヒラだ。




考え事をしていたら、腕に銃弾がかすった。まず、コイツをどうにかしねえとな……


「そろそろ、おいかけっこも終わりにしませんか?」


全力で走ったのに、追い付かれたのは人生で初めてだ。
運動神経には自信があったのにな。

右手を、振り払うように下に出す。そして、現れた少し大きなカマを、握りしめる。

「それ、マジック?すごいね!!」と、町のチビ共に驚かれたが、別にそんな大したもんじゃない。
やってたら出来るようになった。慣れだ、慣れ。


「それにしても、キヨさん。フジさんとAさんって、恋人同士なんですか?」

「はぁ?アイツらが?そんな愉快なカップル、笑ってやるわ。」


いきなり何を言い出すんだこの野郎。心臓止まるかと思ったわ。
急にAの名前を出したかと思ったら、フジと付き合ってるだぁ?それはマジであり得無い。

「そうなんですか……あの人達、起きた途端
『フジさんフジさん』『緑川さんに何したの!?』ってお互いの事を異常に心配してうるさかったので、
てっきりお付き合いでもしてらっしゃるのかと。」


その言葉を聞いて、モヤッとする。カマを持つ手の力が弱くなった。

…うるせえよ。フジは男が好きで、Aは………



!!


隙を付かれて、つわはすくんに殴り飛ばされた。左頬が痛い。


「さっきの仕返しです。それにしても、緑川Aが相当お好きなのですね。キヨさん。」


くっそ。隙を付かれた。これが狙いかよ。Aの名前を使いやがって…
口の中に血の味が広がる。

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ラッキーアイテム

大きなカマ

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