____…第29話…____ ページ29
目の前に差し出された、左手。
少し戸惑いながらも、その手を掴んで、立ち上がった。
そして、手首を見て驚く彼。
「これ…血出てるけど、どうしたの……」
体に付いている血に関しては、あなたの方が心配だ。
「手錠です。大した事はないです」と、言って部屋を出ようとしたが、
一向に私の手を離してくれない。ギュッと握られたまま。
「国王……手、冷たいですよ。寒いんですか?」
「…手が冷たい人は 心が暖かいの。それに僕、冷え症だし。」
!?
衝撃の事実。国王の周り、いっつも空気が冷たくて、寒かったけど、
アンタも寒かったんですか…!?
「助けに来てくれて、ありがとうございます。」
「別に。」
この通り、先程から会話になら無い。何を言っても、単語で返される。
…手を掴まれたまま、何も言わない。二人の静かな空間。
怒ってるのかな。それとも、夜だから、よい子の国王は眠たいのかな?
「えと、国王。眠いんですか?おんぶしましょうか?」
前に一度、国王をお姫様抱っこをした事がある。私より軽かった。
だから、今回もできるはず。
すると、サラッと髪がなびき、国王は顔を上げた。
笑っていなかった。凛とした表情で、私を見つめていた。
いつもの幼さはどこにも無く、初めて見た表情に、何も言えなくなる。
格好いい
そう感じた。
でも、そんな表情をしたのも、ほんの一瞬で、すぐに笑顔になった。
見間違いだったのかな?
と、腕を引かれ、体が浮いた。
そして、ギュッと、足と背中に腕を回される。ん……?
「な、なな何を、なさって、いるんですか…!?」
「ふふ。女の子に『おんぶしましょうか?』なんて言われるほど 屈辱なことは無いね。」
ごめんなさい、それは謝ります。すっごい笑顔だし、絶対怒っている。でも待って。
どうして怒った先が、お姫様抱っこなの…!?
「離して下さい…!あの……!!」
目を細めて、コテッと首を傾げて笑う国王。
は、恥ずかしすぎる……嬉しいのか、恥ずかしいのか分からない。
好きな人にこんな事をされて、嬉しくない訳がない。
でも、大好きなあなたの笑顔が、あまりにも近い。
「あー。どうしても嫌なら、肩車にするけど。」
ヒョイッと私を宙に投げ、自分の肩の上に乗せた。落ちそうになり、慌てて国王の頭に手を乗せる。
足首を掴まれ、ビクッと反応してしまった。
か、肩車…!?
「走るよ〜」とノリノリの国王。いやいやいや!!絶対落ちる!!
「やっぱりお姫様抱っこでお願いします!!」
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あみ - 本編最高すぎてこちらも読ませていただきましたが、、、いや本当に神です以上！！(?)本当に好みというかなんというか。ヒ.ジ.キ.の小説で一番好きかもしれません。こ.ーす.け.をのけ者扱いにしているような小説が多いイメージがあったので。この小説が本当大好きです！ (2021年7月25日 14時) (
レス) id: 2c5fd51ba4 (このIDを非表示/違反報告)
みー - すごく、すごく良かったですっっっっっ...！(大号泣) (2019年11月22日 7時) (レス) id: 7c0d6b05b3 (このIDを非表示/違反報告)
かえで@utaitelove(プロフ) - もう最高です…！！感動したと思ったら次はキュンキュンしてほんと私の心臓どうしてくれるんですか！影葉さん最高です( ；∀；)他の作品も全部読ませて頂きましたがほんとに天才ですね！？これからも頑張ってください (2019年1月1日 21時) (レス) id: a0615ac09b (このIDを非表示/違反報告)
アンジ* - 今になってもずっと読んでます！狂った国の王子様、こーすけが出てきたシーンで大号泣してしまいました。番外編、ぜひ読みたいです！影葉さん、感動をありがとうございました！ (2018年8月20日 20時) (レス) id: a0d4f82c90 (このIDを非表示/違反報告)
夜猫 - ヒラ可愛い！死にそう！ (2018年2月3日 5時) (レス) id: c27b932811 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：影葉
| 作成日時：2015年12月5日 14時
