____…第18話…____ ページ18
あぁ、この縄、全然ほどけない。こういう時、力が無い自分が嫌になる。
そして、ふと思い浮かぶ、バカの顔。
はぁ、とため息をついて、座り込む。
「はあ……あのバカだったら、こんな縄、一人でぶっ壊すんだろうな……」
「おいコラ。誰のことだ?クソアホ執事。」
いきなり後ろから聞こえた声にびっくりする。聞き覚えがあり、
バッと振り返った。な、なんで………
指をポキポキ鳴らして笑顔で立つ、キヨだった。
でも、何か違和感があった。いや、違和感しかなかった。
「…え…お前、何してんの……?」
思わず間抜けな声で聞いてしまった。眉間にしわを寄せて、キヨを凝視する。
「コスプレだ。お前の真似してみたわ。似合ってるだろ?」
俺とは違う服。つわはすさんと同じ執事服を身にまとった、キヨ。
なんで、ピンクのパーカーじゃなくて、執事服…?
しかも、ごめん。物凄く似合っていない。
と、俺の考えを読んだのか、むすっと顔をしかめたキヨは、
天井に向かって手を上げ、あの大きなカマを出現させた。そのカマをぐるぐる勢いよく回し、俺を睨む。
…は!?待って!?そんなに怒る!?俺のこと、殺す気……!?
バッと目を閉じる。
……?しばらく経っても何もされない。変わりに、何かが斬れる音がした。
「おい。いつまで座ってんだ。はよ立て。」
ゆっくり目を開けると、俺を縛っていた縄が斬られていた。あの丈夫そうな手錠が、真っ二つになっている。
「お前、色々勘違いしてるな。まずな、俺が執事服を着てんのは、この城に侵入するためだ。
お前みたいに頭がいい奴が、この城にはいないらしい。
この格好をした俺とすれ違っても、誰も気付かなかったぞ。」
この城は、人が多すぎる。だから、全員の顔なんて覚えられない。
キヨがつわはすさんと同じ執事服を着て侵入しても、誰も気が付かなかったのだろう。
「う、うん…そうだよね……どうしてここが分かったの?」
「うちの国王様が、つわはすくんの執事服に発信器を付けておいたんだってよ。」
うわぁ…ヒラは、初めからつわはすさんを疑っていたんだ。
それなのに、俺ときたら……完全につわはすさんのことを信じて、皆に迷惑までかけて……
駄目だなぁ。俺。
泣きそうになった俺を見て、キヨがバシッと頭を叩いて来た。
白い手袋をはめ直し、ドヤ顔をして来る。
そして、「いつものフジの真似ー」と馬鹿にしたように笑った。
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ラッキーアイテム
大きなカマ
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あみ - 本編最高すぎてこちらも読ませていただきましたが、、、いや本当に神です以上！！(?)本当に好みというかなんというか。ヒ.ジ.キ.の小説で一番好きかもしれません。こ.ーす.け.をのけ者扱いにしているような小説が多いイメージがあったので。この小説が本当大好きです！ (2021年7月25日 14時) (
レス) id: 2c5fd51ba4 (このIDを非表示/違反報告)
みー - すごく、すごく良かったですっっっっっ...！(大号泣) (2019年11月22日 7時) (レス) id: 7c0d6b05b3 (このIDを非表示/違反報告)
かえで@utaitelove(プロフ) - もう最高です…！！感動したと思ったら次はキュンキュンしてほんと私の心臓どうしてくれるんですか！影葉さん最高です( ；∀；)他の作品も全部読ませて頂きましたがほんとに天才ですね！？これからも頑張ってください (2019年1月1日 21時) (レス) id: a0615ac09b (このIDを非表示/違反報告)
アンジ* - 今になってもずっと読んでます！狂った国の王子様、こーすけが出てきたシーンで大号泣してしまいました。番外編、ぜひ読みたいです！影葉さん、感動をありがとうございました！ (2018年8月20日 20時) (レス) id: a0d4f82c90 (このIDを非表示/違反報告)
夜猫 - ヒラ可愛い！死にそう！ (2018年2月3日 5時) (レス) id: c27b932811 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：影葉
| 作成日時：2015年12月5日 14時
