カンパニュラ

1 ページ1

JK side





今日も、同じ朝。
国の鐘が鳴り響く。 肌寒くなってきた。




空は青く、遠い。

いつものように髪を適当に整え、剣を握れば稽古に向かう。



長い外の廊下を歩きながら、同じ宮殿内にもかかわらず遠く、高く感じる巨大な塔がこちらを見ている。





いつかあなたのお姿を見ることができるときは来るのでしょうか。








JK「まあ、、、ないよな。笑」







この国の王を見たことのある人間はほぼいない。
また王の親や兄弟というようなれっきとした王族達の姿もだ。


見ることができるのは、限られた側近や医師、薬剤師くらいでその役職についているのが誰なのかすら俺たちは知らない。




そのため、国では様々な噂が飛び交い、「王などはおらず、他の国にすでに侵略されているのではないのか」「もしかすると王は魔法使いで恐ろしい薬など作っているのではないか」「吸血鬼なのではないか」というようなありえない話もよく聞く。








だが、この国は長年、王の姿を隠したまま繁栄を続けている。




一度小さい頃に父さんから聞いたことがある。この国の王は本殿ではなく、本殿の横に立つ高い塔におられ、慈悲深く何よりも国民のことを考えておられる人だと。






父さんはとても強くて賢くて、そして優しい大きな人だった。国王ときっと会うことがあったんだろう。

国民はもちろん、使えている召使や衛兵は一生姿を見ないまま死んでいく者たちがほとんどだ。







この国の騎士になって、８年ほど経つ。最近では二軍ではあるが将として任務を与えられた。


それでも、その姿を見ることができる日など一生来ないのだろう。
.

2→

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す