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やさしさ ページ4

「うちに泊めてもいいでしょ?」
強請るように言うゴンに、女性はため息を吐く。
「いいわよ。えーっと、A、だったわね。」
優し気に笑う女性に、はい、と答える。すると笑みを深めて、言った。
「一度お風呂に入ってきなさい。もうお湯沸いてるから、ゆっくり体を休めてね。」
彼女はそういうと、ゴンに案内するように言葉をかける。
ゴンに案内されて脱衣所に行って、タオルがどこにあるとか、どれがシャンプーだとかといった説明を受け、ゴンが脱衣所から出てドアを閉めると、滑るように服を脱いだ。
お風呂は気持ちがよかった。何日も水浴びや湯あみをすることができていなかった私には、ここが天国で、ミトさんが神様のように思えるくらい、疲れていたらしい。

お風呂を上がって脱衣所に出れば、私が来ていた服は洗濯に出され、新しい服が用意されてあった。そう書いた置手紙を読んで、タオルで水気を切る。
脱衣所に置かれた服を着ると、私は姿鏡の前でくるりと一回転してから、脱衣所を出た。
ダイニングにはゴンとミトさんとおばあさんがいて、どうやら食事の準備をしているらしかった。
『あの、お風呂、ありがとうございました。気持ちよかったです。
あ、それと、改めて、今日はお世話になります。よろしくお願いします。』
そう言って頭を下げると、ミトさんはにこりと笑って私の頭を撫でてくれた。
とても優しい、母親の手つきだった。
それから、おばあさんの紹介もされ、そのあとは皆でご飯を食べた。
『美味しい・・・!』
「ありがとう。Aは好きな料理とかあるの?」
『好きな・・・ジャポン料理の、肉じゃがとか、好きです。』
私がそう言って笑うと、ミトさんはそれに微笑んで、今度作ってあげるわ。と、優しく放った。
「貴女の真っ赤な髪と金色の瞳を見ればわかるわ。貴女、今まで外に出たこととかないでしょう。」
『はい。兄が過保護で。』
「この世界には、悪い人は幾らだっているもの。きっと、貴女のその珍しい髪と瞳の色の影響で、貴女を外に出すのを躊躇った。」
『・・・私も、そう思います。けどっ、何もできないまま、何も知らないままではいたくないんです!』
私が言うと、ミトさんは私をじっと見つめていた。それが何だか試されているように思えて、私はまた、口を開いた。
『どうか私をここに置いて下さいませんか?私に出来ることなら何でもします!お願いします!』
そう言って頭を下げた私の耳に、小さなため息が聞こえた気がした。
「ありがとう。」

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かなと - 編集画面をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です (2019年4月5日 15時) (レス) id: a6e6d18aa3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:菅野珠樹 | 作成日時:2019年4月5日 14時

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