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くじら島 ページ3

家を抜け出して、船に乗り込んだ。
船長はいい人で、裸足に白いポンチョを被っている私に何かを察したか、無賃で乗せてくれた。
とはいえ、行き先は知らない。
船長によれば、逃げているなら見つかりにくい場所、らしい。
そうは言っても、だ。
『ここどこ・・・だっけ・・・。』
港町を抜け出して、森に入ったのはいいものの、迷ってしまった。
と、川のせせらぎが聞こえ、音のする方に向かって歩いていく。
着いた川の水は澄んでいて、一口口に含むだけで、疲れが取れていくような気がした。
『ッ、誰・・・?!』
後ろで気配がして、振り向く。
直ぐに円を広げて、周りの気配を探ってみる。
すぐ近くの大木の後ろに、子供がいる。
『出て来なさい・・・!いるのはわかってる。』
威圧を含んだ声色で、叫ぶ。
すると、葉の揺れる音がして、少年が姿を表した。
「君、誰・・・?この島の人じゃない・・・よね?」
少年の探る気配もない声に、私は緊張を解く。
大丈夫、彼は悪ではない、敵ではない、と心に言い聞かせて。
『えぇ。私は・・・A。君は?』
「俺はゴン!ゴン=フリークス!」
彼の名前を半濁させて、しゃがんだ状態から立ち上がる。
少年は私を見て、にっかりと笑った。
悪意は、見えない。
『この近くに、民宿・・・?とか、ホテルとか、そう言うものってない?』
私が聞くと、少年は頭を悩ませて、唸り声をあげた。そしてふと、私の方を見て。
「今から行っても、もしかしたら終わってるかも。・・・君さえ良ければ、俺の家に泊まらない?」
『君の家に?』
少年は恥ずかしそうに言う。
たしかに、日は落ちかけていて、今から行って、受付けて貰えるかは、微妙なところだろう。予約していたわけでもないし。
『・・・じゃあ、お願いしてもいいかな?』
私が言うと、少年は嬉しそうに頷いた。
曰く、この島を訪れる人はあまりいないのだとか。まぁ、興味はないけれど。
この森には獣が多く住み着いていて危ないと、あまり近づかないようにと、少年_ゴン_に言われたが、よっぽどのことがない限り、私がしぬ、ということはないだろうとおもう。

「ミトさーん!」
彼の家らしきところの扉を開いてゴンが叫ぶと、奥のほうで影がうごめき、女性が顔を出す。
どうやら、ミトさんという女性は彼の実の母親、というわけではなさそうである。
「A、あの人はミトさん。俺のおばさん。ミトさん!この子はA、俺の友達!初めてくじら島に来て、泊まる所がないみたいなんだ。」

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かなと - 編集画面をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です (2019年4月5日 15時) (レス) id: a6e6d18aa3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:菅野珠樹 | 作成日時:2019年4月5日 14時

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