言の葉(ことのは)ーⅡー (ページ34)

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ー片寄sideー

片寄「でも、いつものAさんも俺は素敵だと思います。集中して机で詩をつくっている時も素敵です。」

「ちょっと、本当片寄どしたの？大丈夫？」

冗談だと思っているAさん。俺は本気で言っているのに。

そうやって、はぐらかされると困らせたくなる。

龍友くんが今市さんを探してキョロキョロしているうちに、Aさんの耳元へ顔を近付ける。

「片寄！？近いっ…。」

片寄「気づいていないかもしれませんが、俺Aさんのこと気になってます。」

「なっ！？あ、からかうな！！」

俺が耳元で囁くと、顔を真っ赤にさせて後退りするAさん。

片寄「ふっ、あははっ！Aさん面白すぎ！」

照れてるAさんの姿を見て笑いが止まらない俺。睨みつけられるけど、真っ赤な顔でむくれられても、まるで迫力もない。

数原「涼太どしたの？めっちゃ笑ってるけど。笑」

龍友くんが俺らの様子に気づいて、声をかけてくる。とても不思議そうに俺らを見る。

片寄「なんでもないよ。笑」

数原「…なんでAは、そんな不貞腐れてるの？笑」

「ー…もともとこういう顔だし。ばーか。」

数原「は？なにいきなり。キレんなよ。笑」

明らかに動揺して龍友くんに八つ当たりするAさん。きっとからかわれて悔しいんだと思うけど、決してからかった訳じゃない。

俺だって照れるから冗談っぽく言ったけど、本心だ。

Aさんが篤志さんや隆二さん、臣さんと演奏しているのを見て感動したし、本当にすごいと思った。

でも、同時に悔しかった。

俺がその言葉を届けられたらって。

ピアノの横で歌ったのが俺だったらって。

“俺、Aさんのこと気になってます。”

ー…認めるしかない事実。

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