【刀剣乱舞】桜散れども【男主】 (ページ7)

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　応援に来た僕たちに、一兄と骨喰兄が気づいたようだった。
　方向を変え、ナニカをこちらに押し出すような攻め方に変えてくれたのがわかる。

　極めた短刀として気配を完全に消しながら、真っ黒なナニカに向かって距離を詰めて行った。

「(うーん、なんだか戦いたくない、みたいな戦い方……？)」

　攻撃してくる――とは言え、ナニカはそれほど積極的に殺意を向けてくるようではないみたいだった。ただただ自分への攻撃をかわし、一兄と骨喰兄を遠ざけようとするように斬り込む。

　言ってしまえば、ただそれだけ。鯰尾兄が言っていた妙に手ごわい、というのは単純に攻撃がかわされるばかりでダメージが入りにくいということだったらしい。

　なるほど確かに、敵と交戦している二振りにも目立った負傷はなかった。
　……あんなにも近距離で刀を交えているのに。

「(なんだろう、敵なのに緊張しづらいな……)」

　ちらりと少し離れた物陰で同じように敵の様子をうかがう薬研を見れば、薬研も僕と似た感想を抱いたらしい。怪訝そうに眉を寄せながらも、どこか戸惑っているのがわかる。

　ナニカから感じ取れるのは、むせ返るほどの瘴気。それだけ。

　……それだけのはずなのに、その下にあるものが本当に敵なのかと疑問が湧く。
　だめだ、僕はこれからこいつを倒すのに。

　ふるふると頭を振った。ナニカはもうすぐそこまで来ている。