【刀剣乱舞】桜散れども【男主】 (ページ5)

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　交戦の気配は奥へと進むにつれて激しくなって行く。が、心配はしていなかった。

　一兄はまだ政府からの許可が下りていないものの(一兄自身は自分を置いてどんどん修行に行く弟たちに複雑そうな顔をしている)鯰尾と骨喰は、共に修行を経た本丸内でも実力のある古参の刀だ。
　そして己も、そして隣を走る乱もとうに修行を経て極めている。

　本丸への襲撃と聞いたときにはぞっとしたが、いざ来てみれば遡行軍そのものは問題にはならなかった。例えて言うならば、函館。普段戦場で刀を交える遡行軍に比べればどうということもない。

　――はず、なのに。

「鯰尾！状況は！？」

　今まさに交戦の場となっている、荒廃した本丸の裏庭。
　到着と共に近い距離に姿が見えた鯰尾に問えば、敵を斬りつけながらこちらを見やる。

「薬研、乱、来てくれてよかった！この辺の雑魚は問題なく倒せてるけど一体だけ妙に手ごわいのがいる、一兄と骨喰が相手してるからそっち向かって！俺もこいつ倒したら行く！」

「わかった！」

　返事をしながら向かってくる遡行軍の太刀を切り伏せ、裏庭の更に奥、建物側へと走る。

　瘴気が、より濃くなった。隣を見れば乱もうんと頷く。言葉にせずともわかった――この先にいる妙に手ごわいという一体が、本丸中に漂う瘴気の大本なのだと。