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「...とのことで、早速今日から始めるみたい」
「ん、わかった。連絡ありがとうな」
あぁ、話し終わっちゃった...
と、少しばかり落胆していると、大耳くんの目線がまだ同じ位置にあることに気づいた。
「...? 大耳くん?あ、なんかわかんないとこあった?」
「いや...なんやいつもより元気ないなぁ思て。勘違いやったらすまんな」
「え...あ、私? いや、大丈夫!たぶん、眠いだけ」
「ほうか、ほんならええわ」
そういって離れていく彼の笑顔。
先程感じていた寂しさはもうなくて、代わりにまた淡い気持ちが募っていく。
「...好き...」
だれにも聞こえないように、小さな声でそう呟いた。
...
..
.
放課後。
今日は1週間に1度の委員会...、大耳くんと一緒の委員会の日。
毎週水曜日、書庫の点検をしたり、新旧本の整理をしたりといった地道な作業をする図書委員会。
もともと本は好きな方だし、そういった作業も嫌いじゃない。
何より、大耳くんと2人でいられる時間が好き。
「よし、やろっか。なんか今日いつもより多いね」
「せやな...まぁ2人でやればすぐやろ」
「そうだね。じゃあ、大耳くん、こっちの高い棚のほうお願いします!」
「おん。Aはこっちの...ちっこい方な」
「ち、ちっこい方って...せめて低い方って言ってよ」
「はは、すまんて。でも、ちっこいて言うた方がなんや可愛ええ感じするやろ」
「...ごめん、その感覚はちょっとわかんないです」
それぞれの身長に見合った場所を担当して、作業を進めていく。
高いところは私はもちろん届かないし、低いところは大耳くんは逆に足腰が辛いらしいから、まさに適材適所だ。
...足腰が辛いって、おじいちゃんみたい。
「...これ...」
「ん?...なに、その箱?」
大耳くんが手に持っているのは小さな箱。
片手で持っているあたり、そんな重い物は入っていないのだろう。
よくみると付箋が貼ってあって、
──『書庫の棚の上に置いておいてください』。
「書庫の棚の上って...え?」
「最上段やなくて、棚の上なんよな。俺でも届かん...椅子もってくるか」
うちの高校の図書室はとにかく大きくて、書庫もなんでこんな高いんだってくらいに大容量。
最上段なら届くみたいだけど、さすがの大耳くんでも棚の上まではギリギリ届かなかったみたいで。
ちょぉ待っとって、と椅子を取りに行った大耳くん...
は、なぜか手ぶらで帰ってきた。
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作者(プロフ) - 花さん» ありがとうございます。忘れ雪シリーズ中心で書いていこうと思うので、更新遅くはなってしまいますが書かせていただきます!待っててくださると嬉しいです。 (2021年5月22日 13時) (レス) id: ed687f0afb (このIDを非表示/違反報告)
花 - リクエストよろしいでしょうか?→影山君で股ドンお願いします! (2021年5月22日 11時) (レス) id: 5a0f0dfb22 (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - 花さん» コメントありがとうございます。嬉しいです(;_;)励みになります! (2021年5月4日 10時) (レス) id: ed687f0afb (このIDを非表示/違反報告)
花 - とっても好みでした!体調を崩さないように気をつけてくださいね! (2021年5月3日 18時) (レス) id: 5a0f0dfb22 (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - クマさん» お気遣いいただきありがとうございます...(;_;) のろのろになりますが、見守ってくださると嬉しいです。コメントありがとうございました(;_;) (2021年4月18日 15時) (レス) id: ed687f0afb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:作者 | 作成日時:2021年1月15日 22時