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目の前にいる彼女は、本当に俺がいつも見ているマネなのかと疑ってしまいそうになる。
「なんか、いいね。新鮮なAが見れてラッキー」
「はぁっ?! ちょ、調子のるんもええ加減にしいや!それに、耳元で喋んなっ」
「かわいいよ、 ... A」
「〜〜〜っ?!!!」
耳元で名前を呼ぶと、さらに顔を真っ赤にする。
目には溢れんばかりの涙をうかべ、身体はぴくぴくと震えている。
「っ...すな、ぁ...!ほんまに、なんなん...!」
「...ッ!!」
ズグンッ、と自分の中で何かが動くような感じがした。
故意になのか、無意識になのか、自分でもよくわからない。
俺の手がAに添えられ、だんだんとその距離がつまる。
唇が触れるまで、あと、少し ──
「なんとか遅れずにすんだな... って、...?! は、はァッ?!なん、角名、何しとんねん!!」
入ってくるなり慌てたように声を荒らげる人物を一瞥して、ゆっくりとAの上から退いた。
「銀か...日直お疲れ。何って、朝言ってたやつ。力比べしてた」
「あ、あぁ、なんや言うとったやつか...喧嘩しとるんかと思たわ。で、Aは勝てたん?」
「いや、見ての通り。完全に俺の勝ち。...ね、A?」
「まぁ、いくらAでも女子やからな...なんや、えらい顔真っ赤やん、そんな悔しかったんか」
ゆっくりと立ち上がったAの顔は、銀の言うとおり未だ真っ赤で。
じと、っと俺の方を睨むと、その小さな口を開いた。
「...今日は2年全員、ランニングのあと100本サーブからや。はよ準備せぇ」
「はっ...え?なん、どないしたんやA」
「異論は認めんからな!!恨むんなら角名を恨みや!!このあほ角名!!!」
そう声を上げると、すばやく走り去っていった。と同時に、ずるずると俺はその場で座りこんでしまった。
「100本て...何をそんなに怒ってんねやろな。
っておい、角名、お前もどないした...?」
「別に... 、危な、歯止めきかなくなるとこだった...」
「ん?なに?」
「いや...銀、今度なんか奢らせて」
「お、おん...?いや、なんでや」
「(かわいい、って言ったか、俺?
Aが?...いや、まさかな。ってかあれ、俺、あいつに何しようとした?
銀が来てなかったら...、っは??)」
この後、互いに意識しまくって全く練習にならなかったこと、100本サーブで2年全員の肩が瀕死状態になったことは、言うまでもない。
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作者(プロフ) - 花さん» ありがとうございます。忘れ雪シリーズ中心で書いていこうと思うので、更新遅くはなってしまいますが書かせていただきます!待っててくださると嬉しいです。 (2021年5月22日 13時) (レス) id: ed687f0afb (このIDを非表示/違反報告)
花 - リクエストよろしいでしょうか?→影山君で股ドンお願いします! (2021年5月22日 11時) (レス) id: 5a0f0dfb22 (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - 花さん» コメントありがとうございます。嬉しいです(;_;)励みになります! (2021年5月4日 10時) (レス) id: ed687f0afb (このIDを非表示/違反報告)
花 - とっても好みでした!体調を崩さないように気をつけてくださいね! (2021年5月3日 18時) (レス) id: 5a0f0dfb22 (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - クマさん» お気遣いいただきありがとうございます...(;_;) のろのろになりますが、見守ってくださると嬉しいです。コメントありがとうございました(;_;) (2021年4月18日 15時) (レス) id: ed687f0afb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:作者 | 作成日時:2021年1月15日 22時