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*


「あ...さっきの、手払ったのも、それで?」

「あれは...、触ったら、止まんなくなりそう、だったから」

「!」




みるみるうちに赤く染っていく力の耳。


ひどく恥ずかしそうにして目を逸らす彼に、こちらまでなんだか恥ずかしくなってくる。


でもそれ以上に、目の前の彼が愛おしく思えてたまらない気分になる。




この感情を、なんと呼んだらいいんだろう。



好き、じゃ足りない。愛してる、でも足りない。



芥川龍之介みたいな文豪なら、いちばんふさわしい言葉を見つけられるんだろうか。





この、なんとも言えない気持ちを、溢れ出して止まらない想いを、どうやって伝えたらいいのだろう。




私は、そんな言葉なんて到底、持ち合わせていないから。






「...力、こっち向いて」

「なに...、ッ?!」



── ちゅっ



と、静かなリップ音が鳴って、唇が離れる。


触れるだけの、短いキス。




「...ハァ?!!なん、お前、何してッ...!!」

「なんか、力がすっごい愛おしく思えて、言葉にできなくて」

「ッ、」

「言葉でムリなら、行動で示すのがいちばんかな、っって、え?」



ぐるんっ、と視界が反転する。


目の前には力、その奥には天井がみえて、自分が机に押し倒されているのだと理解する。




「ち、ちか、んぅ...っ?!!」




名前を呼ぼうと口を開くと、唇で塞がれる。


さっきの、自分からした短いキスとはうってかわって長い、熱いキス。


少し息が苦しくて、力の胸板を叩いて気づいてもらおうと試みるも、両腕をガッチリと押さえつけられていて身動きが取れない。




「んんっ...!ん、はぁっ...!ちから、」

「ハァ...あー、ごめん...!」




なんとか息をしようと、顔を横にそらすと力も気づいたのか、そっと唇が離れていく。


彼の顔が見たくて上を見ると、目の前が何かで覆われて暗くなる。


伝わってくる熱で、それは力の手であるとわかった。




「ち、力、顔みたい、手どけて?」

「...俺は、見られたくない」

「えぇ...」



視界は暗いまま、腕を引かれて起き上がる。


目から手が離されてようやく顔が見れると思ったら、そのまま抱きしめられた。



「力、」

「まじで今、余裕なさすぎる顔してるから、絶対ダメ」

「まだ何も言ってないよ...ねぇ、力」

「...なに?」



彼の腕に包まれて、彼の胸に顔をうずめたまま、ぎゅうっ、と彼の身体を抱きしめる。


胸の音が、力を想う私の音が、少しでも届くように。



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設定タグ:ハイキュー , HQ , 短編集   
作品ジャンル:恋愛
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作者(プロフ) - 花さん» ありがとうございます。忘れ雪シリーズ中心で書いていこうと思うので、更新遅くはなってしまいますが書かせていただきます!待っててくださると嬉しいです。 (2021年5月22日 13時) (レス) id: ed687f0afb (このIDを非表示/違反報告)
- リクエストよろしいでしょうか?→影山君で股ドンお願いします! (2021年5月22日 11時) (レス) id: 5a0f0dfb22 (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - 花さん» コメントありがとうございます。嬉しいです(;_;)励みになります! (2021年5月4日 10時) (レス) id: ed687f0afb (このIDを非表示/違反報告)
- とっても好みでした!体調を崩さないように気をつけてくださいね! (2021年5月3日 18時) (レス) id: 5a0f0dfb22 (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - クマさん» お気遣いいただきありがとうございます...(;_;) のろのろになりますが、見守ってくださると嬉しいです。コメントありがとうございました(;_;) (2021年4月18日 15時) (レス) id: ed687f0afb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:作者 | 作成日時:2021年1月15日 22時

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