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*
「あれ、椅子は...?」
「...通路につっかえて、持ってこれんかった。思てたよりでかいんやな、アイツ」
「あぁ...棚同士の間隔も狭いもんね...どうしようね、踏み台とかあったっけ」
「んー...あっ」
難しそうな顔をして唸っていた大耳くんが、なにか閃いたように小さく声をあげる。
「ん、何かいいのあった?」
「いや...A、この箱もってくれるか」
「え、うん...?」
「Aて、高いとこ大丈夫やったよな?」
「うん...え、なんで急に?」
そんな私の問いには答えず、よし、いけそうやな、と真顔でひとりうなづいている。
「ほんじゃ、いくで」
「え?いくって...、って、きゃあっっっ??!!!」
大耳くんがそういった次の瞬間、腰あたりに添えられた大きな手と、ふわっとした感覚。
自分でも何が起きているのか一瞬わからなかったが、すぐに大耳くんに持ち上げられているのだと理解した。
「お、おおおおおお大耳くんっ...?!!」
「どや、届きそうか?」
いや、届きますけども。
余裕で届きますけども!!
恥ずかしさやら驚きやら、もうなにがなんだか分からない感情で頭がぐちゃぐちゃだ。
それでも激しく動く心臓の音と、全身から発せられる熱ははっきりと認識してしまって、それがさらに頭を混乱させる。
「お、いけたな。ほな、降ろすで」
「う、ん...」
...え、何が起きた?
いや、何が起きたのかはわかる。
いやいや、でも、何が起きた???
「A?」
「 ...っ」
鏡を見なくてもわかる、きっと私の顔は真っ赤だ。
だって、大耳くんの手が私の腰にあって...
そのまま持ち上げられて...
え、待って待って、重いとか思われた...?!
しまった、もっとダイエット頑張ればよかった。
いや、違う、そうじゃなくて。
っていうか、絶対スカートのなか見えてたよね?
今日、可愛いの履いてきてたっけ?
って、いやいやいや、だからそうじゃなくて!
「さっきから何で下向いて...、やっぱ高いのあかんかったか?」
「い、いや、そうじゃないの...!そうじゃない、んだけど...」
どうしよう。なんて言えばいい?
好きな人に持ち上げられて恥ずかしくてでもちょこっと嬉しくて?
って、いや、言えるか。
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作者(プロフ) - 花さん» ありがとうございます。忘れ雪シリーズ中心で書いていこうと思うので、更新遅くはなってしまいますが書かせていただきます!待っててくださると嬉しいです。 (2021年5月22日 13時) (レス) id: ed687f0afb (このIDを非表示/違反報告)
花 - リクエストよろしいでしょうか?→影山君で股ドンお願いします! (2021年5月22日 11時) (レス) id: 5a0f0dfb22 (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - 花さん» コメントありがとうございます。嬉しいです(;_;)励みになります! (2021年5月4日 10時) (レス) id: ed687f0afb (このIDを非表示/違反報告)
花 - とっても好みでした!体調を崩さないように気をつけてくださいね! (2021年5月3日 18時) (レス) id: 5a0f0dfb22 (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - クマさん» お気遣いいただきありがとうございます...(;_;) のろのろになりますが、見守ってくださると嬉しいです。コメントありがとうございました(;_;) (2021年4月18日 15時) (レス) id: ed687f0afb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:作者 | 作成日時:2021年1月15日 22時