泡が四十六 ページ46
地上に降り立ち、彼女は直ぐに立ち止まらざるを得なかった。
太宰の姿は何処にも見当たらず、一人で外に出たのは頭が混乱している時一度きりで。
太宰の行き先も知らないのに、知っても辿り着けやしないのに、如何すればいいのだろう。
「私は、一人じゃ何も……」
「如何かされましたか？」
急な声に振り返ると、
「赤城さん……如何して此処に？」
「伝言係ですので」
恭しく頭を下げたのは、本人が述べた通り伝言係の赤城であった。
最近は直接関係者から連絡が回って来るので、正直に云うと彼女はすっかり忘れていた。が、さっと身構える。
「誰から？」
「勿論首領からですよ」
にこりと微笑む彼の裏に同じく 、にこりと嗤っている森の顔が見えた気がした。
「此処からは出ない約束だったけど？と」
背筋が冷えた。
森は判っていたのか。自身が逃亡する事に気付いていて、先に使者を置いていたのか。
「あの人は、何時だってッ」
太宰の場所が判らない以上、リスクをおかさず此処にいろとでも云うのだろうか。
Aはグッと唇を噛み、拳を作った。
その震える拳を赤城がそっと包む。
「まあそう固まらないで下さい。貴女には異能が有ります。そして、私にも」
「ま、さか」
森は何時だって合理的だ。
建物内を駆け回る少女に、逐一伝言を届けるために、異能の者を採用した。
「既知の存在を探し当てる能力。私でも太宰さんは知っておりますので」
「だって、でも、そんなの……赤城さんは如何してこんな事するの？」
「はて、何か云いましたかな。私、首が飛ぶ様な事は云いませんよ」
笑ったまま、首を傾げる赤城。
確信犯だとAは思った。
「貴方が私に伝えたのは貴方の雇い主の言葉だけ。って事にしといてあげる」
久々に。
彼女は強気な笑顔を見せて、
「異能力ーー『人魚姫』」
美しい歌声が響く。
其れは小さな音だった。他の者には聞こえぬ程に。
然し、ただ一人聴いた赤城は、虚勢の明るさに包まれた悲哀の歌に流されるが儘、太宰の居場所を示した。
ーーーー我が
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京beスウィーツ(プロフ) - おきリンゴさん» 済みません。存じ上げなかったので、調べさせて頂きました。まどマギの登場人物なのですね(違ってたら済みません！)。そんな立派なお話しは書けませんが、また見て頂けたら幸いです。コメントありがとうございました。 (2017年9月17日 18時) (
レス) id: 35074ef1fd (このIDを非表示/違反報告)
おきリンゴ - 人魚姫… さやかを思い出してしまった… (2017年9月13日 22時) (レス) id: 8fe98c431a (このIDを非表示/違反報告)
京beスウィーツ(プロフ) - マイさん» コメントありがとうございます。面白いと思って頂けて嬉しい限りです！更新は遅くてご迷惑をお掛けするかも知れませんが、最後まで頑張りたいと思います。応援ありがとうございます！ (2017年6月25日 11時) (レス) id: 35074ef1fd (このIDを非表示/違反報告)
マイ - とても面白くて更新楽しみにしてます！これからも頑張ってください！！ (2017年6月17日 8時) (レス) id: 1068f74b75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：京beスウィーツ | 作成日時：2017年4月2日 17時
