泡が四十一 ページ41
太宰ははっきりと其の感触を覚えていた。
処々こびり付いた血がザラザラして、まだ体外に出たばかりの血がヌルヌルして、然し乍ら触れた指が柔らかに沈んだ、あの肌の感触。
生に縋った少女。
「ひぐっ、あっ……うっ、あぁ、いだい、ね、ねぇ、母さ、父さん、どこ？」
真っ赤な体を其の涙で浄化するかの様に、頬を濡らし乍ら潤み過ぎた瞳を自身に向けた。
ずれた肩を震わせ、解っているのに問うて来る姿は痛々し過ぎた。
同時に、理解出来なかった。
彼女の置かれた状況は何とも酷いものだったのだ。
親を殺され、其の仇を殺し殺人の罪を負い、此れからどうしろと云うのか。
其の答えをくれるものは居ない。
憎む相手が居ると云う事は、偶に立派な生存理由に成り得るのだ。だが其れが無い。
太宰は口先だけの同情をする事が多かったが、この娘には何故だか心の底から同情したし、興味も湧いた。
少女の目が虚に成り始める。
目蓋が下がり、足下が覚束なくなっていた。
咄嗟に抱き留めて、意識の無い彼女に問いかけた。
如何して、敵が死んでも死のうとしなかったんだい？
此れ程の絶望を叩きつけられて尚、如何して生きようとした？
無論答える筈がない。
「太宰君、その子を連れて帰るよ。今日から君がその子の面倒を見るんだ、いいね？」
「はい、森さん……否、首領」
最近頂点に立ったばかりの、超合理主義者の上司が、引き継ぎ作業の忙しい中自ら出向いてきたのかは知らない。
だからこそ気になった。
より一層興味が強まった少女の寝顔は、驚く程美しかった。
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京beスウィーツ(プロフ) - おきリンゴさん» 済みません。存じ上げなかったので、調べさせて頂きました。まどマギの登場人物なのですね(違ってたら済みません！)。そんな立派なお話しは書けませんが、また見て頂けたら幸いです。コメントありがとうございました。 (2017年9月17日 18時) (
レス) id: 35074ef1fd (このIDを非表示/違反報告)
おきリンゴ - 人魚姫… さやかを思い出してしまった… (2017年9月13日 22時) (レス) id: 8fe98c431a (このIDを非表示/違反報告)
京beスウィーツ(プロフ) - マイさん» コメントありがとうございます。面白いと思って頂けて嬉しい限りです！更新は遅くてご迷惑をお掛けするかも知れませんが、最後まで頑張りたいと思います。応援ありがとうございます！ (2017年6月25日 11時) (レス) id: 35074ef1fd (このIDを非表示/違反報告)
マイ - とても面白くて更新楽しみにしてます！これからも頑張ってください！！ (2017年6月17日 8時) (レス) id: 1068f74b75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：京beスウィーツ | 作成日時：2017年4月2日 17時
