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泡が三十八 ページ38

すぅと息を吸い込むと、次の行動を察知した中原がその口を手で塞いだ。


「異能は使わせねえよ」

「ん゙〜〜ッ」

「殴ろうったって無駄だ、誰が仕込んだと思ってんだよ」


伸びてきた手を受け止め、両手を纏めて彼女の頭上で押さえつける。
細腕二本押さえつけるなど、中原は片手で事足りた。

悔しげに視線を送ってくる彼女に、中々彼の胸中の炎は納まりそうにない。


「おい、とっとと離せ。異能を使うようなら止めてやるからな」

「ん、はっ、莫迦、阿呆、チビ!」

「五月蝿ェ、早く言え」


一段と近づいた顔の距離に、彼女は視線を逸らした。
その時、中原は晒された白い首に赤い斜線を発見した。
鋭利な刃物で掠められたかのような。


「首領と闘ったのか」

「っ!……だったら何?」


相変わらす視線が交わらない。
中原はその傷痕に舌を這わす。


「んっ、いっ、た……中也、やだ」

「じゃあとっとと吐け」

「っ、判った。でも別に大したことなくて、ただ忠告されただけ」


これでも不満なのかと目で訴えるAに、中原は少しきょとんとしてからふっと笑った。


「“大したこと無い”か。手前も成長したな」

「莫迦にしてるの?!私だってっ」

「はいはい、大人だな。俺も相応の扱いしてやるよ」

「はぁ?……ンッ?!」


中原はAの唇に口付けた。

が、彼女は少し恥ずかしがったものの、雨の中の時との温度の違いに躊躇うくらいで、何故接吻することが“大人”なのかと考えていたのだが――――どうやら大人の意味は違ったようだ。


「ん、ッ?!やッ……!!」


背中をなぞられ一瞬力が抜けた時を見計らい、生ぬるい物が、自分のそれとは違うものが彼女の口内に侵入してきた。
“其れ”は歯列をなぞったり、上顎を擽ったり、自由に動き回った。

生理的な涙が膜を張った時、


コンコン。


「A?私だ、入るよ」


最悪のタイミングで、太宰が這入ってきたのである。

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京beスウィーツ(プロフ) - おきリンゴさん» 済みません。存じ上げなかったので、調べさせて頂きました。まどマギの登場人物なのですね(違ってたら済みません!)。そんな立派なお話しは書けませんが、また見て頂けたら幸いです。コメントありがとうございました。 (2017年9月17日 18時) (レス) id: 35074ef1fd (このIDを非表示/違反報告)
おきリンゴ - 人魚姫… さやかを思い出してしまった… (2017年9月13日 22時) (レス) id: 8fe98c431a (このIDを非表示/違反報告)
京beスウィーツ(プロフ) - マイさん» コメントありがとうございます。面白いと思って頂けて嬉しい限りです!更新は遅くてご迷惑をお掛けするかも知れませんが、最後まで頑張りたいと思います。応援ありがとうございます! (2017年6月25日 11時) (レス) id: 35074ef1fd (このIDを非表示/違反報告)
マイ - とても面白くて更新楽しみにしてます!これからも頑張ってください!! (2017年6月17日 8時) (レス) id: 1068f74b75 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:京beスウィーツ | 作成日時:2017年4月2日 17時

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