泡が十一 ページ11
Aは掻き集めた勇気を覚悟に換え、ぎゅっと目を瞑った。
「ぷ、ふふふ、冗談だよ」
だからそう云われて頭を撫でられた時、どきどき何てものではなく殺気が芽生えた。
「太宰っ!莫迦!阿呆!間抜け!」
「うふふ、まだまだ語彙が少ないねぇ。中也にすら及ばないよ」
Aが手を使えないのをいい事に、太宰は気持ち悪い笑い方で挑発してくる。
ああ、一瞬でもこんな奴を綺麗だと思っていたなんて……。
「ぐ、そう云う太宰だって、特に何も云ってないじゃん!!」
「ふ、其処まで云うなら仕様がない、私の本気を見せつけてやろう」
変なスイッチが入った太宰がまた顔を近づけてきたので、Aはぷいと顔を逸らした。
が、太宰は尚嬉しそうに云う。
「Aは強い上に綺麗で、可愛くて、歌も上手いだなんて惚れ惚れするよ。ああ、此の艶やかな髪!潤んだ瞳、薄く色付いた唇に長い睫毛!君の全てが愛おしい……好きだよ」
横を向いたお陰で、太宰の巫山戯た甘い台詞がダイレクトに鼓膜を揺らす。
Aは顔を真っ赤にして太宰を見た。
普段のおちゃらけた顔ではない。仕事中に見せる冷酷な表情でもない。
真っ直ぐ熱い視線を自分に注ぎ、真剣な表情をしていた。
「だ、ざい……」
「何てね、少し意地悪し過ぎたかな。中也にもそんな風に顔真っ赤にしてたでしょ」
「は……え?見てたの?!」
「見えただけー。てか君ね、もっと用心しないとだよ?Aは可愛いのだから」
そんな風に云われては、�茲が熱くなるばかりだ。
こう云う処が太宰に揶揄われる原因なのだと判っていても、体温は一向に下がらなかった。
「わぁ、真っ赤っか」
「五月蝿い!」
「痛ッ?!」
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京beスウィーツ(プロフ) - おきリンゴさん» 済みません。存じ上げなかったので、調べさせて頂きました。まどマギの登場人物なのですね(違ってたら済みません!)。そんな立派なお話しは書けませんが、また見て頂けたら幸いです。コメントありがとうございました。 (2017年9月17日 18時) (レス) id: 35074ef1fd (このIDを非表示/違反報告)
おきリンゴ - 人魚姫… さやかを思い出してしまった… (2017年9月13日 22時) (レス) id: 8fe98c431a (このIDを非表示/違反報告)
京beスウィーツ(プロフ) - マイさん» コメントありがとうございます。面白いと思って頂けて嬉しい限りです!更新は遅くてご迷惑をお掛けするかも知れませんが、最後まで頑張りたいと思います。応援ありがとうございます! (2017年6月25日 11時) (レス) id: 35074ef1fd (このIDを非表示/違反報告)
マイ - とても面白くて更新楽しみにしてます!これからも頑張ってください!! (2017年6月17日 8時) (レス) id: 1068f74b75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:京beスウィーツ | 作成日時:2017年4月2日 17時