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久々な…☆ ページ15

試合の日は私のモヤモヤした気持ちなんて
関係無いかのように、あっと言う間に
残すところ数日となっていた。

有馬さんから
勘久郎さんの記憶の話をされる事も無く
私は殆ど家に居て
帰って来る勘久郎さんと話したり
買い物に出掛けた先の方々と話したりする他は
家事をしたり、こっそりと また地下室で
呪力の修行を自分なりに続けていた。

前みたいに勘久郎さんに励まされたり
褒められたりする事は無いけれど
何かしていないと不安になるからだ。


A)「…ふぅ」

口から息が抜けた。
時間を見ると もう夕方で私は急いで
勘久郎さんを出迎える支度をしようと
階段を駆け上がると
目の前の扉が開く。


そこには、勘久郎さんが私が地下で
鍛錬を続けていた事を知っていたかの様に
驚く事も無く 私に声を掛ける姿があった。


勘)「お疲れ様〜ッス」

勘久郎さんの反応とは裏腹に
私は驚きのあまりに
口をパクパクとさせながら答えるので精一杯だ


A)「お、お疲れ様です!お、お、お帰りなさいっ」


…恥ずかしい事に声まで上擦ってしまっている
自分の顔が耳まで熱くなっていくのを感じながら
思わず目をぎゅっと結ぶと

頭には懐かしい感触があった


勘)「ははは、どうしたんスか?そんなに驚く事スかねぇ?」


柔らかく笑う勘久郎さん。
胸がじーんと暖かくなる
…あれ?この前もこんな感覚があったような…?


勘)「もう今日はあがりっスか?」


私の思考を遮って声のかかる手元には
いつも練習で着ていた狩衣や呪符があった。


A)「え…?あ、邪魔でしたよね!?済みません、空気が読めず…」


試合前なのだから予測は出来たはずなのに
ここを使うのに待たせてしまったのだろうか…

私は急いで勘久郎さんの脇を通り抜け
ようとした瞬間

私の手首が力強く握られていた。


勘)「あ、申し訳無いスね…何か無意識に」


少し動揺しながら勘久郎さんは優しく手を離す
久しぶりに触れた手が 離れていくのを寂しいと
思うのは きっと今は私だけなのかな…


勘)「あと、丁度タイミングが合っただけで
1秒も待って無いから気にしないで」


A)「1秒も…ですか?」


私は勘久郎さんの優しさが嬉しくて
顔を覗き込むようにして聞いた


勘)「1秒…は、言い過ぎたっスかねぇ?あはは」


私達は笑い合う。
こんな時間、とても久々な気がする…

とても…幸せ。


勘)「見ていきます?」


A)「はいっ!!!」

私は登った階段を大好きな人を追うように降りた。

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設定タグ:水度坂勘久郎 , 双星の陰陽師 , 勘ちゃん   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:Blue♪ | 作成日時:2017年10月26日 1時

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