ワンコとボクのあいだに。 (ページ8)

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purple side

「さて、と…」

部屋に入ってきたものの、腕から下ろそうにもなかなか下りてくれへん。
無理矢理ベッドに乗せたら、キャンキャン吠えながら足元に寄ってきて、ズボンの裾をガシガシ噛んだ。

「ああっ、コラッ！」
「コノジーパン高いんやぞ！」

ワン、ワン…

ホンマ…ワガママな犬やわ。
昔飼ってたペットの方がどんだけ従順やった事か。

「……」

そんな事考えてたら、咥えてたジーパンから口離して初めて俺から遠退いた。

「どした、疲れたか？」

「……」

明らかにド無視され。
背をこっちにカラダ丸めて眠りにつこうとするから、やっと解放されたのをエエ事にタバコに火をつけた。

しかし…あのジイサン何やねん。
なんであんな俺らの事詳しく知ってんやろ？

言い当てた事が普通の人間観察じゃわからへん事ばっかりやし。
ましてや性癖て、そんなん公の場で言われて堪るか。

それに…。
こんなエエ家住まわして貰う条件ってのが、なぁ？

「……」

吠え疲れたんか。
スゥスゥと寝息立てながら眠る犬を見て、そのちっさい頭に手を伸ばしたらゆっくりと撫でた。

「お前は、何か知ってんのか？」
「なぁ、何でお前はこんなトコにいてんの？」

「……」

一瞬鼻先がピクンと動いたけど、それ以外は反応する事なく眠ってる。

まぁ、人間の言うてる事なんてわかるワケないか。
時間はたっぷりあるんやし、そんな焦らんでもゆっくり解決していこか。