ワンコとボクのあいだに。 (ページ6)

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orange side

「おいで」

「……」

暫くの間睨めっこしてたけど、あまりにも可愛らしいからこっちから歩み寄って再び抱き上げた。

「かいらしなぁ、お前」
「誰かに捨てられたんか？可哀想に」

「……」

一瞬上目遣いに僕の顔を睨んだら、今度はさっきのと比にならない程、ガブッと僕の腕を噛んだ。

「いた…っ！」

「……」

腕のチカラが抜けて床に落ちたら、素知らぬ顔して部屋のドアへ向かってく。
…なんやねん。
まるで僕の言うた事理解してるみたいやん？

「…なぁ、ちょっと待って」
「今僕が言うた事…もしかして理解、した？」

「……」

「僕は…そんな事せえへんから」
「あのジイサンと約束したし…」

「何より…お前、可愛らしいやん？」

「……」

ドアの前から振り返ってやっぱり睨まれて。
再び抱き上げようと近付いたら、フーッっと鳴いて威嚇する。

「あはは、そんな怖がんなって」
「せや、名前決めよか」

「ポチ…ちゃうな」
「チビ…そのままやもんな」

「ショコラ…うーん、そんなナリや無いし」

「……」

ギリギリまで近付いて胡座かいて座って。
その後もいくつか名前呼んでみるんやけど、どれもしっくり来ないんかピクリとも動いてくれへん。

グゥー…

「ん？」

今、何か音した？
腹の虫っぼかった気もするけど…僕ちゃうし。

「腹…減った？」

「……」

グゥー…

顔逸らしても鳴り止まない腹の虫。
ココは一時休戦と、カバンに戻ったら中身ゴソゴソしてみた。