ワンコとボクのあいだに。 (ページ43)

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purple side

「服は犬の時、適当に着せてくれたらエエよ」
「人間なったら、ちゃんとしたサイズなるから」

「あ、でもマニアックな趣味に走るんは止めてや」
「それで外出してイタイ目遭った事あるし」

俺の心を読んだんか、亮がふふっと笑う。

マニアックな服着て外出…か。
多分そうかな思うてたけど、俺らの前にも飼い主いてたんや。

「なぁ、亮ってさ」
「今まで何人くらいその…飼われた事あんの？」

人間の亮に『飼われた』って聞くんはちょっと抵抗あるけど。
それでも亮は笑顔のまま答えた。

「んーせやなぁ」
「ざっと計算しても10人は下らん思うで」

「へっ、そんなに？」

俺てっきり2,3人くらいや思うてたから。
ざっとで10人はちょっとビックリやった。

「じゅ…10人も飼われてて人間に戻られへんって？」

「せやねん」
「犬のオレを10人も相手しといて…なぁ」

「よいしょ」言うて亮が起き上がったら、両膝立ててベッドの上で座り直す。

「オレはな、ちゃんと心が通い合える人と一緒にいたいねん」
「たったそんだけな願いやのに、何で叶えて貰えんのんかなぁ…」

「大抵のヤツは優しそうに見せ掛けて、犬人間を世に晒そうとしたり」
「変身したらこんな感じやから、アカン言うてんのに身体求めてきたり…」

「……」

なんか…なんか想像してた以上に深いトコ行ってない？
そら確かに、亮の身体は十分魅力的やけど。