ワンコとボクのあいだに。 (ページ40)

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purple side

「ただいま…あれ？」

バイト終わって帰るも、水を打ったように静かな家の中。
あれ、マル帰って来てないんかな？

リビングに入って電気付けたら、テーブルの上には未開封の弁当2つと食った形跡のある弁当ガラ2つ。
…残りもんから察して、どうやらあのワンコどもが食ったんやろ。

ワン、ワン

「亮、ただいま」

リビングに入ってきた亮の胴体掴んで持ち上げたら、鼻同士擦り合わせて軽くジャレ合う。

…あ、せや。
『シンクロ』やったっけ。
やってみるんなら今とちゃうか？

シッポをパタパタ振って喜ぶ亮に唇寄せてチュッとキスを交わすと、ソファーの上に座らせて人間の姿になるのを待った。

…あれ？

いつまで経っても人間の姿になってくれへん。
相変わらずシッポ振って「ヘッヘッ」言いながら喜んどうのに。

そういえば、思いを通じ合わせるとか言うてたよな。
思いって、何を通じ合わせんの？
人間になりたがってたから、人間になれって念じれば良いんやろうか。

…人間になれ、亮。

…人間になって？亮。

…人間なれや、亮。

「……」

念力を送るように目ぇガッと開き。
目力でアピールするけど、亮は大きく欠伸をしたらソファー降りて部屋を出て行った。

…おかしいなぁ。
俺、何か間違うてたやろうか？

まぁ、エエか。
そのうちまた会えるやろ。

自分の部屋に戻ろうとカバン持って部屋を出たら、マルの部屋の前に差し掛かったトコでちっさい話し声が耳に入ってきた。