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orange side
「しゃあないなぁ」ってジッパーに掛けられた手を慌てて外す。
「まま…待って待って待って！」
「アカン！これ以上はアカンッ！」
頑なに拒否したら、眉尻下げてすばるはニヒッと笑う。
「ははっ、さすがにやり過ぎぃ？」
「まエエわ、やっぱオレも眠さ限界やし」
「今の感じな、マル」
「今の感じでキスができたら、人間のオレともっと長くいられる」
「……」
「だーいじょうぶやって、一度できたんやから」
「…キスする時は、オレの事だけ考えて？」
「オレも」
「…マルの事だけ考えてるから」
「……」
「ほなおやすみ」って最後に声掛けられたら、モゾモゾと頭から布団を被り、間も無く寝息を立てて眠ってしまった。
「……」
指先が自然と自分の唇を擦る。
すばるとキス…した。
初めてや…あんな深くて優しいキス。
頭ん中で思い出そうと繰り返される感覚。
無意識に自分の舌が咥内で緩く蠢いてるのに気付き、手で口を覆った。
グゥ…グゥ…
そっと掛け布団を捲ってみたら、すでに犬の姿に戻ったすばるが背を向け丸まって眠ってた。
なんやろ…この気持ち。
キスした後からドキドキが止まらへん。
…すばるを好きになったんかな。
でも、この好きって何なんやろ。
恋愛対象としての…好き？
今のキスが良過ぎたから。
単純にまたしたいと思っただけの…好き？
塞いだ手の中でやっぱり無意識に蠢く舌。
緩く噛んで動きを封じる。
すばるとのキスを知ってもうた今。
飼い主と犬の関係って…果たしてこの先成り立つんやろうか。
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作者名：かんく | 作成日時：2017年10月1日 16時
