ワンコとボクのあいだに。 (ページ33)

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orange side

「ただいまぁ」

学校出ると、4人分の弁当買って家に帰る。

玄関の扉を開けた途端、黄色い首輪付けたワンコの亮がシッポ振りながら出迎えてくれた。

ワンワン、ワンワン

「ぅはっ、ちょっと待って」
「わかったわかった、まずは家の中入らせて？」

ちょっと、なんちゅう可愛さやねん。
足元グルグル回ったか思うたら見上げてご挨拶してくれて。
愛想エエなぁ…人間なってもそうなんやろうか？

ん…あれ、すばるは？

見渡したけど出迎えは無い。
リビングの扉開けて中に入ると、ソファーの上で伏せたまま僕を睨むワンコのすばるがいた。

「…ただいま」

「……」

ダイニングテーブルに弁当置いてすばるに近寄ると、変わらず睨んでくるその身体を抱き上げる。

あぁ…そう言えば。
心の声が読み取れるんやったね。
さっき亮見て感じた事、ひょっとして読まれてた？

「…すばる、怒らんといて？」

「……」

胴体持って顔同士近付けたら、ぷいっと顔を逸らされた。

なぁ、これってさ…もしかしてヤキモチ？
やとしたらメチャクチャ可愛いんちゃう？

「もぅ、機嫌直して？」
「すばるやって…可愛いに決まってるやん」

「……」

無愛想な表情の鼻先にキスを落とそうと顔近付けたら、ふと人間のすばるの姿が重なって躊躇した。

昨日は『犬』だから簡単にできたキス。
せやけど、すばる人間やとわかっただけで…。

ワン！ワン！

すばるが激しく暴れたから、仕方なく床に下ろす。

「…ゴメンな」

何て言うたら良いかわからなくて謝ったら、すばるは寂しげな表情見せて離れていった。