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orange side
「…信ちゃん」
「ん？」
「僕な、昨夜変な夢見てん」
翌朝。
「なんで朝刊は来週から配達やねんっ」って、朝から機嫌悪くスマホ弄る信ちゃんにコーヒー淹れて持ってったら、夢を見た事にして昨夜の出来事を話に出してみる。
目が覚めたら、ベッドの上で犬の姿に戻り身体丸めて眠ってたすばる。
やっぱり夢かと思うたけど、羽織らせたネルシャツは小さい身体に被さったままやった。
「あぁ、奇遇やな」
「オレも変な夢見てん」
コーヒー啜った後、スマホ見ながら信ちゃんが呟く。
「あの犬が人間になる夢、やろ？」
スマホから目を離して振り返ると、ソファーの上でくぅくぅと寝息立てる信ちゃんの犬を指差した。
「そうそう！それそれ」
「いきなりハダカで現れたからビックリしてもうて…」
「せやって」
「首輪付けたままペタンと座り込んでんの見て」
「始めはオレ、連れ込んでやらかしてもうたーって思うたもん」
「……」
さすが信ちゃん。
先に思うんがそっちやなんて、やっぱツワモノや。
「まぁ、実際夢や無かったって事か」
「昨夜人間のアイツに貸してたカーディガン、ソファーの下へ落ちてるし」
「…あのジイサン、もしかしたらとんでもない事をオレらに押し付けて来たんちゃうやろか？」
「あぁ…」
エエ家住まわしてくれる条件が犬の世話。
簡単そうに見えて、いざ蓋を開けてみればとんでも無い状況やった。
『コイツらな、愛情に餓えとうから』
そういやジイサン、そんな事言うてたっけ。
魔法を掛けられた理由と何か関係あるんやろうか？
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作者名：かんく | 作成日時：2017年10月1日 16時
