ワンコとボクのあいだに。 (ページ16)

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orange side

「そしたら…何で犬なんかに？」

相変わらず驚く事は多いけど、この状況にはどうにか慣れてきた。

「うーん…何て言うか」
「ファンタジー路線で言えば、悪いヤツに魔法掛けられた…ってとこか？」

拳作って口元に当てて「ニシシ」って笑うてるけど。
それがホンマやとしたら笑い事や無いんちゃう？

「悪いヤツて…アカンやんか」
「その魔法、解いて貰う事でけへんのん？」

「あっほやなーお前」
「そんなんできてたら、今頃とうに解いて貰ってるっちゅーねん」

「オレやって嫌やわ、ずっと犬人間なんか」

犬人間…。

ペロ前にして何やけど、僕はエエ思うたけどな。
だって自分の都合エエように犬とか人間とか変換できるんって面白そうやん？

「何かしょうもない事考えてはるけど、エエ事なんか1つも無いし」
「俺なんか…自分の感情だけじゃ人間なられへんのやから」

「えっ？」

「今夜は特別に『シンクロ』なくても人間の姿なれたけど」
「これからは…マルと心を『シンクロ』させな、人間にはなられへん」

「シンクロ…？」

「一定の思いが通じ合ってないと、俺はこうして人間の姿になる事がでけへんの」
「言うてもお前は飼い主、俺は飼い主に従う犬…やからな」

「飼い主差し置いて、犬が暴走したらそれこそ問題やろ」

「……」

そう言ったらペロは俯いて、寂しく笑った。

なんやろ、さっきまでと違うこの気持ち。
…寂しさ言うか虚しさ言うか。