ワンコとボクのあいだに。 (ページ15)

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orange side

「…で、ペロは何で人間に…？」

目の前で起こってる出来事がまだ半信半疑やのに、冷静にこの人へ質問できてる自分がスゴいと思うてまう。

「うーん、まぁ」
「何で人間言うか…元々人間やからな、オレ」

「えっ？」

ベッドサイドに並んで座るなり、ペロがとんでもない事言い出した。

元々人間って？はぁ？
…いよいよファンタジーの世界に紛れ込んだか。

「ファンタジーか、はは」
「そう捉えて貰うんが一番なんやろな」

「…えっ？」

あれ…今、口に出して言うてたっけ？

「んー、言うてへんよ」
「全部が全部ちゃうけど、神経研ぎ澄ましたら人の心なんか簡単に読める」

「せやなぁ…例えば」

ベッドの上に膝抱えて座り直して、身体丸めて一段とコンパクトになったら、犬の時同様あの上目遣いで僕をじぃっと眺めてきた。

てか…裸に前開きなシャツだけ羽織って瞳ウルませるとか…ヤバいって。
人間になってもなかなか可愛いやん、この子。

「…あんなぁマル」
「エエ年したオッサン凝視して、この子可愛いは無いやろ？」

「はっ」

生唾飲んだらいらん事読まれてしまって、突如顔が熱くなった。

「オッサンて…僕と変わらへんのとちゃう？」

「いやいや、お前大学生やろ？」
「オレ少なくともマルよりは年上や」

「犬年齢やと4、5歳やから…人間で言うと30半ば、か」

「えぇ…」

こんな小さくて可愛らしいのに年上？
「せやで」って笑うペロを見て、今までとはちょっと違う胸の高鳴りを感じた。