13 ページ13
orange side
「ぁ…ぁ…だ、れ…？」
どうにか声を絞り出したら、人影が身を乗り出して僕にグッと近付く。
「ひぃ…っ」
何かされるんじゃないかと、思いきり目を閉じた。
アカン…ヤバイヤバイ…。
チリン…
ペロッ
「っ！」
再び口の端にヒヤリとした感触。
ウソやん…もしかして舐められた…？
動いたらマジでヤバい思って、暫くされるがままに固まってた。
チリン…チリン…
ペロッ…ペロッ…
…ん？
舐められる度に聞こえる小さな鈴の音。
これって…まさか。
「…ペロ…？」
目を閉じたまま震える声で呟いてみると、舐めてたと思われる動きが止まった。
そうか、きっと僕は夢と混同してるんや。
もしもペロが人間だったらとか、どこかで考えてたのかもしれない。
それが頭の中で反映されて夢として出…。
「…マル？」
「おーい、マルって」
「ふぇ？」
夢の中で僕を呼ぶ声がする。
でもこの声…信ちゃんじゃない。
「マル」
「ほら、目ぇ開けろって」
不機嫌な声とため息が聞こえてゆっくり目を開いたら、鼻先が付くか付かないかの至近距離で誰かが僕を眺めてた。
「ひっ…！」
「怖がんな」
「取って食うたりせえへん」
さっきよりも穏やかな声が聞こえて、少し気持ちが落ち着いてきた。
すぅっと深呼吸したら、改めて目の前の人物に目を向ける。
「落ち着いた？」
「スマンな、驚かせて」
暗がりの中でもはっきりわかる大きな目。
ニヤリと微笑んだら、ゆっくり顔が離れて行った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 288人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かんく | 作成日時：2017年10月1日 16時
