紅の影を2 (ページ10)

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58.彼の正体ページ10

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ケラケラと笑っていたそいつは、ふと髪をかきあげた。と、ちらりと光った耳元。え？あの色って…？俺の見間違い、じゃないよな？

「お、気付いた？」

『それ、そのピアス…、』

「ふは、じゃあそろそろ自己紹介しよっか？」

ティーカップが突然、ふわりと浮いた。

そしてそれはふよふよとセフンの方に飛んでいくと、セフンは当たり前かのようにそれを受け取る。気付けば、その人は俺の前にしゃがんでいて、俺を見るなり、にっと笑った。

「特殊能力攻撃部隊、EXO所属。コードネームはクリム。能力はコピー。よろしくな？」

キラリと、耳につくライトシルバーのピアスが輝いた。

『…え？』

「ん？」

『あんたが、EXO…？』

「そうだけど？」

なにか不都合？と笑いながら問いかけてくる。待ってよ、俺は、この人を知らない。EXOってうのは、名ばかりで、もしかしてもっと人がいるとか？

俺の知ってるEXOとは形態が少し違うのかもしれない。

『…なあ、EXOって、何人いるの？』

「ん？今のところ12人かな、あ、君を含めて13人」

『え、』

「ふーん、その反応を見るあたり、君にとって俺はイレギュラーな存在なのかな？」

くすくすと笑うクリムという男。

「他のメンバーの名前は知ってるのに、俺だけわからないのは、どうして？上から情報をもらってないとかかな？」

おっちゃめー！なんてまた笑うその綺麗な顔に、ぞくりと。背筋に走る悪寒。今まで、芸能人という立場柄、いろんな人に出会ってきたけど、こんなにも恐怖を感じる人は初めてだった。

目が、笑ってる。
本当に綺麗に笑っているんだ。

本当に心の底から笑っているように見えるその笑みが、俺にとっては怖かった。なにを考えているのか、わからない。

この人は危険だと、頭の中で誰かが囁いた。

「なーんてね？せっかく君もEXOになったんだ、仲良くやろうじゃん？ところで、君いくつ？見た感じ年下っぽそうだよね～」

『え、あ、チャニョル！チャニョルと同い年！！』

「あー、チャニョルか。ってことは俺がヒョンだな」

『え、ヒョン！？』

「んー？そうだよ、よろしくなベッキョニ」

スッと差し出された手。それを握るのに少し躊躇ったけど、俺はおずおずとその手を取った。

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