紅の影を2 (ページ1)

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49.特設ステージページ1

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カツン、と。冷ややかな音がして弾かれたナイフ。目の前には氷で出来た薄い壁。が、それもピキピキとあっけなく砕け散る。

その瞬間、目の前のAの瞳がバイオレットに光ってすぐさま姿を消す。それを見逃すこともなく、地面に着地すると同時に右手に持つナイフで後方を裂いた。その反動を利用して、右足で回し蹴り。

と、スレスレのところでその両方をAはしゃがんで回避していた。

その姿を捉え、すぐさま左手に持っていたナイフを振り下ろす。だけどそれも、ググッと念力で押し返される。

瞬きをする暇も惜しく、その瞳が今度は水色になった。バシャリ。鋭く飛び出してきた冷水。微妙にそれを交わしきれずに頬に受けながらも、押しとどめられていたナイフを投げ捨て、後ろに飛び退く。

ツゥッと垂れてきた赤い雫。

それをペロリと舌先で舐めとる。と、口内に広がる鉄の味に、歓喜している自分。ああ、やっぱり、あの存在を壊したい。

身体中を駆け抜ける衝動に、ただ従う。

と、バキバキとモノが壊れる音がして、気付けば黒いベットがバラバラに砕けていた。鋭さを持った部品たちが、俺の気持ち同様、高く浮かび上がる。

「この部屋なら壊せるもんも少ないと思ったんだけれど」

そんな異常な光景を見ても、Aは綺麗に笑うだけ。恐怖やら不安やらで顔がゆがむなんてことはしないのだ。

「それも誤算だったかな」

クスクスと笑う、その目が俺と同じ色に光る。

「でも、ルハンが使える手札は俺も使えるってこと、忘れてない？」

グッと俺の力にさらに力が加わる感覚がして、少し身体が重くなる。押し潰されてしまいそうなほど、かけられる力にグッと踏ん張る。そんなことは百も承知。やるなら全力でやらなきゃ面白くない。

だって、なにも始まらないだろう？

手を抜いてしまえば、なにも生まれない、なんの価値もない。全力でやりあうことに、意味があるのだから。

Aの瞳がコーラルピンクに光ると、ぶあっと俺の周りにできた炎の壁。

興奮しているせいか、暑さは感じない。だけど、たらりとほおから汗が垂れるということは、俺の身体は素直に暑いと感じているのだろう。

シュッと目の前に現れたA。

「どう？特設ステージ作ってみたんだけど」

その笑みは深い。

『最高なんじゃん？』

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